(第18回)中国の工業化による日本のシェアの低下

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 原油など鉱物性燃料は、90年には、日本の輸入総額の23・9%を占めていたが、95年には15・9%にまで低下した(この間に原油価格が安定していたことの効果もある。2000年には20・3%になり、その後の原油価格の高騰によって、08年には35%まで上昇した)。

90年度から95年度の間に、原料品は12・2%から9・8%に、原料別製品は13・2%から12・2%に、それぞれ比率を下げた。

これに対して、総輸入に占める電気機器の比率は、90年には5・5%であったが、95年に10・4%になり、00年には14・2%になった。「その他」は90年の14・2%から95年の16・3%になった。ここに含まれる「雑製品」は同期間に11・6%から14・1%に上昇した。

輸入先でみても、中国の比重が増大した(なお、生産者は、中国の現地企業とは限らない。中国に進出した日本企業が生産者になっている場合も多い)。すなわち、日本の輸入総額に占める中国からの輸入の比率は、80年には3%でしかなかったが、85年に5%、90年5・1%、95年10・7%、00年14・5%、05年21%と継続的に上昇している。

特に、90年代以降の伸びが極めて顕著である。身の回りの消費財に中国製品が激増したのは、われわれの日常的観察でも明らかにわかる。なお、韓国のシェアは、80年の2・1%から00年5・4%に、台湾のシェアは、同期間に1・6%から4・7%になった。

新興国からの低価格製品が実際に日本に輸入されなくとも、それと競合するだけで日本企業の利益率は低下することに注意が必要だ。このために、それまでの期間のように旺盛な投資を行うことは不可能になったのだ。

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