変形してしまった「バブル五輪」をどうすべきか コロナでややこしくなった東京五輪で考えた

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鉄則4 牝馬を買え

これは多くの人の好みと逆かもしれない。ほとんどすべての競馬関係者にとっては、毎年春、決められた収得賞金など一定の資格をクリアした18頭の3歳馬が出走できる日本ダービーが最大の目標だ。馬主もダービーオーナーになるのが夢だし、勝てば種牡馬になるチャンスが広がる。よって、牝馬も出走可能だが一般的には牡馬のほうが価格は高い。1.5倍あるいは2倍はする。だから、牝馬を買うのは逆張りである。

牝馬は一般的に牡馬よりも早く引退する。そのため、昔は古馬になってからの牝馬限定レースが少なかったし、牡馬と混合のレースだと牝馬はなかなか勝てない、などといったことから、牝馬にはデメリットのほうが多かった。

だが、今は牝馬のほうが強いし、その結果、牝馬の古馬の重賞も増えた。いいことばかりだ。しかし、私が勧める最大の理由は、牝馬の多くは引退後、繫殖牝馬となる。そうすると、自分がオーナーになった馬の「息子」「娘」がまた競馬を走ることになる。自分の息子、孫が出てくるようなものである。牡馬だって同じだが、楽しさは牝馬のほうがはるかに上である。しかも、牡馬は、実際のところ種馬にはまずなれない。だから、牝馬の方が長く楽しめるのだ。

やっぱり牝馬がすべて

鉄則5 父親は誰でもいい。母親がすべて

一口馬主になりたいと思う人は、競走馬の血統に興味を持ったことがきっかけになっていることが多い。そして、好きな馬がいる。好きな種牡馬がいる。

多くの馬主はディープインパクト産駒を持つことが夢だった。しかし、実際には、父親よりも母親の血統の方がはるかに重要だ。「95%母親」と言ってもいいだろう。

理由は、そもそも種牡馬になる馬は、超エリートで、要はみんないい馬だからだ。しかも、種牡馬は、年間100頭、200頭も種付けをするが、母親が産むのは1年1頭だ。

だから、多くの繁殖牝馬が必要となるし、ばらつきも大きくなる。統計的データも確立していない(標本が少ないから)。だから、いい母親を選ぶことが何よりも重要だ。

ポイントはいろいろあるが、今日は3つだけ挙げておく。①「初仔はやめろ」。骨盤が広がっていないから、小さい子が出る。また、母親も初めての子供だから、神経質に育てる。だから精神的に弱い子供が多い。②「初仔はだめだが、できるだけ若い母親の子を買え」。丈夫で健康な確率が高いからだ。③「同じ母親の子供が全部デビューしている馬を買え」。デビューできる、健康が最重要だから。さらに勝ち上がっている(1勝以上している)子供の率が高い母親を選べばもっとよい。

長くなり過ぎた。残りは、またの機会に。良い娘にみなさまも出会えますように、Good luck!

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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