意外と多い「高田馬場」築50年超のシブいビル巡り ロータリー周辺では4件のビル再開発が進行中

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一方で、駅前にはそれらと同時代に建った“シブいビル”もまだまだ多数健在。

写真左が稲門ビル、右がBIG BOX(筆者撮影)

馬場のランドマークであり、西武鉄道の駅ビルでもある「BIG BOX」は74年築。駅の真ん前にある、早稲田カラーのエンジ色と角丸形の窓の並ぶ外観が特徴の「稲門ビル」(69年築)。同ビルは2020年に閉店した居酒屋「まんぷく亭」が入居していたビルと言えばわかる人も多いのではないだろうか。

写真左が名店ビル、右がFIビル(写真:筆者撮影)

さらに、最上階が空中に浮いたような展望フロア風で外壁にはモザイクタイル壁画もある凝ったデザインの「名店ビル」(69年築)。同ビルにはアド街ック天国の高田馬場の回で1位になった居酒屋「だるま」が入居している。

そしてその隣の「FIビル」(71年築・1階にドン・キホーテ)はエレベーターやエスカレーターまわりに赤いトラバーチン石が使用され豪華な内装と、それぞれが個性的だ。

ビル内ではチェーン店と老舗が混在

駅前という絶好の立地のためか、築50年以上にもかかわらず、どのビルも1階や2階にはコンビニ、ファストフード、ドラッグストアや大手資本の洋菓子店、ベーカリーが入居し、人通りも利用客も多い。

そんな各ビル内には、古くから営業を続けている店も健在。稲門ビルの「山水ビリヤード」「喫茶ロマン」、FIビルの「芳林堂書店」、イタリア料理「文流」、ロシア料理「チャイカ」といった馬場の老舗が営業中だ。

稲門ビルには、69年の創建時には、当時大流行していたボウリング場があり、その後は映画館に改装され99年まで営業。館内は今よりも細かい区画で多くの飲食店が入居し、焼肉屋、寿司店、ラーメン屋、麻雀店など個人経営の店が並んでいたそうだ。地下には新宿ゴールデン街を思わせる飲み屋街もあったというから、そんなビル内の各店を懐かしく思い出す人もいるだろう。

ありし日のゆう文ビル、菊月ビルと、東京三協信用金庫本店ビルの姿(写真:筆者撮影)

現在開発中の菊月ビルとゆう文ビルの2つのビルは、解体以前は一見して一つの大きなビルのように見えたが、早稲田通りに面した目立つ場所には「ムトウ楽器店」というレコード店が2013年まであったことも思い出す。

菊月ビル内の「菊月」は和菓子店だったが、2010年代にその場所は100円ショップとなり。ゆう文ビル内の「ゆう文」はもともと果実店だったが、ビル解体前にはすでにタバコ店、携帯電話ショップなどになっていた。

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