大阪ミナミに活気戻る! 3月から人の流れが急増《NEWS@もっと!関西》

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 地域への集客の“決定打”となったのは、米国発祥の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」である。4月に心斎橋店を開店(下写真)したところ、店頭には連日のように行列ができている(1人平均2時間)。それに負けまいと、「ミスタードーナツ」を運営するダスキンも、高級ドーナツ店「カフェ アンドナンド」を難波の千日前通りに、そして、神戸発祥の「はらドーナツ」も心斎橋店をオープンさせた。この「仁義なきドーナツ戦争」の勃発が、地域全体の話題をさらに高めた。

 ミナミになぜ、人気店舗が集結したのか。クリスピー・クリーム・ドーナツは心斎橋への出店を決めた理由について、「利便性の高さ」を挙げる。ミナミは私鉄や地下鉄など交通網が充実しており、昨年3月には阪神電気鉄道の「阪神なんば線」が開通したことで神戸方面の住民も移動しやすくなった(これまでは神戸住民がミナミに出向くには、JR大阪駅や阪神梅田駅などでの乗り換えが必要で不便だった)。

もともとミナミは、「懐の深い地域」(心斎橋筋商店街の前田事務局長)といわれる。周辺には「アメリカ村」や「ヨーロッパ村」という若者でにぎわうショッピングゾーンがある一方で、高級感のある百貨店やブランドショップも隣接する。吉本新喜劇や松竹座などの演芸場もあり、また、飲食店が数多く並ぶ「くいだおれの街」としても知られる。

こういった多様性を持つ地域の潜在力に目をつけた企業が、不況の影響による店舗閉鎖でできた空きスペースに、こぞって出店してきたのだろう。

来春には、JR大阪駅前に三越伊勢丹百貨店が開業する。キタでも賑わいが増しそうだ。大阪の主力地域であるキタとミナミが再活性化すれば、大阪全体を覆う不況の暗い影は払拭されるだろう。

(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)

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