攻勢かけるリクルート 人材業界大再編がいよいよ加速

昨年秋口からうわさされたスタッフサービスの身売り。想定外の高値で買収に踏み切ったのは、人材業界の巨人リクルート。多彩な企業が乱立する中、外資大手も本格攻勢に乗り出した。
(週刊東洋経済2月16日号より)

 人材サービス業界の経営幹部は口をそろえる。「あの買収価格は、どう考えても高すぎる。非上場のリクルートは、派遣でも圧倒的な地位を築くための勝負どころだと判断して踏み切ったのだろうが、上場企業では絶対に出せない額だ」。

 2007年12月末、広告・総合人材サービスのリクルートが、一般人材派遣の最大手、スタッフサービス・ホールディングスを買収してから一カ月。業界各社は、いまだリクルートの真意をつかみきれずにいる。

 最大の理由はその買収価格だ。当初8社が興味を示し、最終的に3社まで絞りこまれたが、「創業者の岡野保次郎会長が少しでも高く売ろうと競争入札方式にこだわった」(関係者)結果、価格はつり上がり、結局、リクルートは非上場の同社の全株式を推定約1700億円で取得。これに対して「上場大手のテンプスタッフやパソナグループの時価総額と比較しても、適正価格は半額程度」(業界幹部)との意見が大勢を占める。
 さらにスタッフサービスには、子会社の製造派遣のテクノサービスを含め、社会保険の未加入問題や、かつて「派遣スタッフ1カ月無料お試しキャンペーン」を行ってひんしゅくをかった強引な営業手法など、とかく好ましくない評判がある。

 リクルートは江副浩正氏が1960年に創業。広告収入で成り立つビジネスを支える抜群の営業力を武器に、ベンチャーの先駆けとして急成長を遂げる。労働者派遣法施行の翌年の87年には子会社シーズスタッフ(現・リクルートスタッフィング)を設立して、派遣事業に参入した。だが88年のリクルート事件で江副氏が退任。バブル期のノンバンク、不動産への積極拡大が裏目に出て、90年代半ばには有利子負債は1兆4000億円まで膨らんだ。





 江副氏退任後、ダイエーの資本参加を受け経営再建に着手。再建の中心となったのがダイエーから送り込まれた高木邦夫常務(当時、元ダイエー社長)で、その手足となって奔走したのが現在の柏木斉社長だ。

 不可能ともいわれた巨額負債の返済の軸となったのが、圧倒的ポジションを確立した採用広告事業から上がる高水準の期間利益。直近の営業利益率は実に3割弱を誇る。05年度で経営再建に伴う負債返済のメドがつき、柏木社長は10年度にグループ売上高で当時の1・5倍の1兆円を目指すとの大目標を設定。2000億円の投資を行うことを宣言していた。その柏木社長が宣言どおりの巨費を投じて成長の「核」に据えたのが派遣、というわけだ。

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