型破りのコーチング 平尾誠二・金井壽宏著

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著者の平尾誠二氏はラグビーの名選手であり名監督。「名選手必ずしも名将に非ず」の俗伝に大きく反して、実践の場で使用に耐えうる自分なりの理論(本書では持論・自論)を構築した人物である。高い水準のスキルと実践経験を持ち、経験から得た教訓を言語化できる人を「内省的実践家」と名づけるが、平尾氏はこの極めて限られた資質とキャリアの持ち主である。

本書は、「持論・自論」の持ち主の平尾氏と、リーダシップ、キャリア、モチベーションの研究者である金井壽宏氏が、コラボレーションで作り出した「型破り」提言集である。

何が型破りなのかは、見出し「『何度言ったらわかるんだ』と言わなくても、人は動く」や、「型を教えてもメンタルは育たない。日本の組織では『自律ある個』は生まれないのか」などのキャッチフレーズに明らかだ。

特に、第三章「コーチングの通説を疑え」では、「オレの背中を見てついてこいは最悪」とか、「カリスマ的リーダーはもはや存在しえない」などの刺激的言説に満ちている。

金井氏は、世阿弥『花伝書』の言葉・「守・破・離」を引用して、日本のあらゆる組織が必要としているのは「破」であると看破する。そして、コーチ、カウンセラーやメンター−などの指導者・師の教えを「守」るのではなくあえて「破」り、自らの独創性を出し、師から「離」れて自在の境地に至ることが「型破り」につながると説く。 
(田宮寛之 =東洋経済HRオンライン)

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