(第17回)90年代以降の投資減少はバブル崩壊によるものか?

(第17回)90年代以降の投資減少はバブル崩壊によるものか?

前回述べたように、外需依存経済への移行を貯蓄投資バランスの観点から見れば、貯蓄の減少以上に投資が減少したことが基本的な原因だ。投資は、民間企業設備投資、住宅投資、公的資本形成(公共投資)からなるが、これらの総額が過去15年程度の間に減少したのである。

投資減少が最初に起こったのは、1990年代の前半である。それまで高い率で伸び続けていたこれらの投資(特に設備投資と住宅投資)が、一挙に減少に転じたのだ。

なお、この時期に減少したのは、投資だけではない。企業利益、生産額、輸出額など、ほとんどすべての経済指標が下落した。それらとともに設備投資や住宅投資も減少した。これは、「失われた15年」と言われる期間の始まりである。現在の日本経済を理解するために、経済の不調がなぜこの時期に始まったのかを分析することが重要だ。

この当時、日本人の関心を独占していたのは、「バブルの崩壊」である。日経平均株価は89年大納会の3万8915円をピークとして下落を続けた。地価も91年頃から下落が始まった。この結果、金融機関に巨額の不良債権が積み上がり、その処理が重大な課題となった。

金融システムの混乱は拡大を続け、97年には北海道拓殖銀行と山一証券の経営が行き詰まった。さらに98年には、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻した。

こうした混乱は、権力構造にも大きな影響を与えた。とりわけ大きな後退を余儀なくされたのが、官僚機構では大蔵省、そして政治では自民党の主流派だ。日本の政治・経済・行政の構造が、この時期に大きく変貌したのである。

「失われた15年」は、経済指標の動向からすると、前半と後半に区別することができる。前半は90年から95年頃までの期間であり、この期間においては、ほとんどすべての経済指標が下落した。

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