中国でアップルとサムスンに明暗 焦点:モバイル市場に「中国サプライズ」

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一方、サムスンにとっては、4Gの導入は「一利一害」となっている。

カウンターポイントのカン氏は「4Gの展開は当初こそサムスンとアップルの両方を助けたが、通信会社と規制当局の最近の方針がサムスンには逆風になっている」と指摘。「サムスンは3G携帯を中国のキャリアに大量に売っているが、需要は急激に落ちた。3G販売が不利になるような最近の4G重視路線はサムスンには好ましくない」と語った。

中国での販売についてサムスンは今月、4G製品を待つユーザーの買い控えによる3G端末の売り上げ低迷と、低・中位機種での価格競争により、苦戦を強いられていると明かしていた。

<iPhone6>

中国移動が4G網を拡大し、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)<0762.HK>や中国電信(チャイナ・テレコム)<0728.HK>も同様のサービスを準備する中、端末メーカーは、アップルから大画面iPhoneが出てくるという「サプライズ」にも身構えている。

「現時点で4Gにアップグレードしたいユーザーはほんの一握りだ」。こう話すガートナーのルー氏はその理由として「大きな画面を望む相対的主流とも言える消費者層はまだiPhone6を待っている」とし、新型iPhoneが発売されれば「サムスンのような高級ブランドへの影響はさらに大きなものになる」と語った。

カウンターポイントのカン氏も、画面が大型化したiPhoneは「サムスンの縄張りに直接踏み込んでくる」と指摘。その上で、サムスンは湾曲ディスプレーなどの手立てで対抗するかもしれないと述べた。

アップルは、中国での勢い加速に自信をのぞかせている。その背景にあるのは、中国移動との関係と、同社の「App Store(アップ・ストア)」向けにアプリを開発する約15万人の中国人プログラマーの存在だ。

ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はロイターの取材に対し、中国移動の4G拡大で「(iPhoneの)販売場所も増え続けている」と説明。「彼らはマーケティング活動も増やし始めており、われわれの前には中国移動との非常に良い滑走路ができていると思う」と語った。

(翻訳:宮井伸明 編集:伊藤典子)

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