30年後、日本は「明るい廃墟モール」だらけ!? ピエリ守山に学ぶ、失敗するモール・成功するモール

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全国のショッピングモール、総ピエリ化の恐れ

「商圏人口」と「回遊性」──。これがショッピングモールの成否を分ける。

おばあちゃんの原宿「巣鴨」には高齢者がたくさんいるが……

しかし、これからの日本は加速度的に少子高齢化が進み、人口が減少していく。つまり、日本という商圏に人がいなくなる。

急増する高齢者には、巨大モールをぐるぐる回遊するだけの体力、気力がないだろう。街で見かける、杖をついて歩くようなお年寄りは、巨大モールではほとんど見かけない。せいぜい子どもや孫とフードコートで食事をしている程度だ。

もともとショッピングモールの中心ターゲットは、20~30代のファミリー層であり、高齢者向けのテナントがほとんどないのも原因である。けれども、今の20~30代はネットで買い物をすることに慣れているから、将来、年を取って足腰が弱くなったとき、ショッピングモールに行かなくなるかもしれない。昨今、「ファミリー世帯」が減り、「単身世帯」も増えている。

となると、30年後、40年後、全国のショッピングモールが総ピエリ化し、日本中が「明るい廃墟」だらけになってしまう恐れがある!?

それを防ぐには、ショッピングモールを徐々に高齢者向けに変えていかねばならない。本来、単身高齢者こそ、1カ所ですべてが賄える店や日常的な娯楽を求めているはずだ。過疎化が進み、食料品や生活必需品の購入にすら困っている「買い物難民」も大勢いる。

一人暮らしのお年寄り (写真:読売新聞/アフロ)
高齢者の生活をサポートするロボット

そこで提案したい。ショッピングモールに高齢者向けのテナントを誘致したうえで、動く通路にする、電動車椅子で移動できるようにする、あるいはロボットに“乗って”、一緒におしゃべりしながら買い物できるようにする。

エスカレーターの昇降時は、高齢者が転倒しないように十分な注意が必要だが、適度な緊張と運動は心身の健康によさそうだ。万が一のときも、病院が併設されているモールなら安心だ。

いっそ最上階に高齢者用マンションや老人ホームを設置してはどうか。毎日が「いきいきパラダイス」になる。

上田 真緒 ライター、編集者

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うえだ まお / Mao Ueda

ビジネス誌、ビジネス書の編集者・ライター

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