メットライフが募集人情報流出の失態 「ほけんの窓口」の情報がライバル「みつばち」に

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メットライフ生命のシャー社長は自ら謝罪した(撮影:梅谷秀司)

この間、ようやくメットライフも、事態の深刻さに気付いた。

メットライフは現場での対応に神経を注ぎ過ぎたばかりに、社長などの経営層には即座に報告をすることはなかった。が、ほけんの窓口の強硬な抗議を受け、シンガポールでのグループの重要イベントに出席していたシャー社長や役員クラスに、詳細を伝達。「ほけんの窓口の窪田社長のことを考えれば、すぐにアクションしなければならない」。メットライフのシャー社長は、直ちに重大性さを認識し、このイベントが済んだらとんぼ返りで日本に戻る決断を下す。そして自らが謝罪をする手はずを整え、7月14日には窪田社長を訪問した。

実際、当日はシャー社長を筆頭にメットライフは総勢8人で、窪田社長の元を直接訪れ、頭を下げている。もっとも、ほけんの窓口の関係者に言わせると、まだまだ満足のいく答えではなかった。

結局、社名を入れなかったメットライフ

その後も、誤送信情報が転用されないことの証明や対外公表、金融庁への報告などを再三要求するほけんの窓口側と、メットライフとの間で、キャッチボールが続いたもようだ。まずほけんの窓口が求めたのは「メットライフはほけんの窓口やみつばちなど社名を明示するリリースを出すこと」。また「メットライフがみつばちに対し『情報を転用しない』との確認をしてもらうこと」も求めた。メットライフは7月15日に金融庁へ報告している。

しかし、情報を受け取った“善意の被害者”であるみつばちは、社名を公表されることには最後まで同意しなかった。そこで今度メットライフは、情報を流出されたほけんの窓口に対し、代理店の名前を一切記さない案と、ほけんの窓口のみの名前を記す案の両案を提示したが、ほけんの窓口はどちらにも納得しなかった。結果的にメットライフのリリースは、社名を全て伏せたリリースになったのである。

7月17日にはほけんの窓口が公表について最終通知する。そして同社は見切り発車の形で、ほけんの窓口とみつばちの両方の社名を明記したリリースを、通告通り18日に流した。これが事の経緯と真相だ。

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