USENの業績を握る無料ネット放送「GyaO」の行方

USENの業績を握る無料ネット放送「GyaO」の行方

USENが展開する広告を収入源とした完全無料のネット放送「GyaO(ギャオ)」の視聴者登録が1000万目前となってきた。サービスを開始したのが昨年4月であり、登録者数だけとれば驚異的なスピードだ。今年3月に窮地に陥ったライブドアと業務提携をしたのもギャオとの融合が狙い。USENの宇野社長も業務提携時に「ライブドアは非常に高いトラフィックのあるポータルサイトを持っている。両社が融合すれば、集客力が高められ、広告収入の拡大につながる。また、ポータルから誘導されるサービスコンテンツの課金などさらなる収益機会の拡大も期待できる」と話している。

しかし、そのギャオ事業は予想以上に赤字が膨らんでいる。4月20日には業績の大幅な下方修正を発表。通期連結営業利益は120億円から50億円まで引き下げた。売り上げを当初予想の1800億円から1700億円へ引き下げたのは、ギャオの広告収入やカラオケ事業の売り上げが予想に達しないため。一方、利益の大幅な低下の原因は大半がギャオにある。

スポンサーからの広告収入に頼るギャオ事業を拡大する唯一の方法は、視聴者を増やしてサイトとしての「広告価値」増大につなげること。2006年8月期は、知名度向上や加入促進を図るため広告宣伝費やコンテンツ製作費を増やしており、事業赤字が大幅に拡大した。結果的に、当初ギャオ事業は売り上げ40億円、営業損失20億円を予想していたが、今回の修正で売り上げ30億円、営業損失は75億円と見直した。

決算説明会では「民放のテレビ局に例えると、ギャオは番組製作費を使ったものの視聴率が上がらないという状態なのか。今後、視聴率を上げるために、コンテンツの製作費は底なしになる可能性があるのか」という質問も出たが、宇野社長はギャオ事業の戦略説明に時間を割き「ギャオ事業には将来性がある」と強調。電通や博報堂などの大型代理店が本格稼働し始めたことで広告収入の拡大が見込めるとした。佐藤英志常務は「2007年8月期の中間期末までに月次黒字にしたい」と語っている。

ライバルでは日本でナンバーワンのポータルサイトであるヤフーが展開する無料動画サービスも今年から本格的にサービスを開始している。競合他社に負けない事業の広告価値を形成するため、当面は費用が先行するのは仕方がない。今のUSENを支えるのは有線放送とカラオケ事業による利益だけ。ギャオの赤字が膨らむため、光ファイバーのブロードバンドサービス事業を予定よりも早く黒字化(07年度初め頃に黒字化見込む)させ、先行投資費用を補うために株などの資産売却も推し進めるなど、まさにギャオへの全面支援体制を敷く。立ち上げ時に急増する先行費用は徐々に落ち着くと見られるが、視聴登録のスピードに広告収入がどこまで追いつけるかが、今後のポイントになる。
【井下健悟記者】


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益 1株益¥ 1株配¥
連本2005.08  154,148 9,531 6,274 -27,707 -395.8 10 
連本2006.08予 170,000 5,000 1,000 1,000 13.3 10 
連本2007.08予 180,000 8,000 4,000 1,000 13.3 10 
連中2005.02  70,805 4,522 2,505 -16,440 -253.8 5 
連中2007.02予 90,000 3,500 1,200 400 5.3 5 
単本2005.08  93,532 3,014 1,130 -16,555 -236.3 10 
単本2006.08予 100,000 2,000 100 3,000 39.9 10 

(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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