自衛隊「オスプレイ」、佐賀空港配備の裏側 基地の佐賀移転はすでに米国側が提案していた

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また、佐賀県には陸上自衛隊西部方面総監部、海上自衛隊の佐世保地方総監部、そして、航空自衛隊の西部航空方面隊司令部などもあり、統合運用に資する地域にあると答えるなど、屋良氏の説明とほぼ重なる発言を行っている。

政府が佐賀空港への移転を決めた背景には、足元では今年11月の沖縄知事選があるためだという指摘がある。佐賀空港への配属や米海兵隊の同空港利用となれば、基地の本土移転による沖縄の負担軽減を求めてきた沖縄県にとっては、ある種の朗報ともなる。

「沖縄が最適という政府の説明が瓦解」

しかし屋良氏は「長らく日米同盟維持と安全保障上の抑止力を保つためには沖縄県が最適と言ってきた政府側の説明が瓦解する」と指摘する。日本の防衛政策や日米同盟の関係は、言葉の一つ一つをきちんと検証しないまま続けられてきた。そんな安易な発想から佐賀空港への配置が決められたのではないかと疑問を呈する。

防衛省によれば、佐賀空港の西側に2016~18年度にオスプレイの駐機場を整備。武田副大臣は配置規模について、ティルトローター(オスプレイ)17機、陸上自衛隊目達原駐屯地のヘリコプター50機、最大70機と佐賀県に伝えている。自衛隊の駐屯部隊としては700~800人規模を考慮しているという。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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