交通危機の救世主になる「グリスロ」とは何か? 地域に根付くグリーンスローモビリティの公算

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グリーンスローモビリティの車両でもっとも多く利用されているが、ゴルフカートだ。そのほか、大学と地域の企業と連携して独自開発した小型バス型や、欧米で開発された自動運転車などがある。

日本における種別では、クルマの種類と用途に応じて軽自動車、小型自動車、普通自動車に分類される。自動運転は、グリーンスローモビリティとしての“ひとつの方法”という解釈だ。

石見銀山で運用されるゴルフカートのグリーンスローモビリティは最高速度を時速19キロとしている(筆者撮影)

交通の“危機”に対する解決策

なぜ、今グリーンスローモビリティに対する注目が全国各地で徐々に高まってきたのだろうか。

「グリーン」という観点では、国は2050年までに実質的にCO2排出量をゼロにする“カーボンニュートラル実現”に向けて、2020年12月「グリーン成長戦略」を示しており、菅政権が推進するグリーン化とデジタル化という文脈に、グリーンスローモビリティはあてはまる。今回の手引きを発表した国土交通省の担当部署も、環境政策課だ。

だが、グリーンスローモビリティの実態を見れば、成長戦略という日本の世界に対する産業競争力強化を優先するグリーン化という視点よりも、日本各地における厳しい社会状況に対して即効性のある“現実的な解決策”という面が大きいと思う。

何に対する解決策かといえば、交通の“危機”に対してである。

城県境町が公共交通機関として運用する、フランス・NAVYA製の自動運転バス。運航中のNAVYA車内から、すれ違うもう1台のNAVYAを見る様子(筆者撮影)

今回の手引きの公開とほぼ同時期に、国土交通省 総合政策局 交通政策課は、2025年度までの「第2次交通政策基本計画」を発表している。

この前半では、日本の交通に対して「人口減少や少子化、インフラの老朽化、地球環境問題の深刻化、厳しい財政制約など、多様かつ重大な課題に直面している」と明記された。

そのうえで、「交通が直面する『危機』と、それを乗り越える決意」が必要だとし、「我が国の交通は、地域におけるモビリティ危機や大都市等での慢性的な混雑などサービスの課題、デジタル化等の遅れ、物流における労働力不足、自然災害をはじめとした安全・安全の課題、地球温暖化対策への要請など、対応を怠れば社会・経済に致命的なダメージを与えかねない様々な『危機』を抱えている」(本文引用)と、今後の交通のあり方について警鐘を鳴らしているのだ。

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