問題社員の取扱説明書 田北百樹子著

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前述した相談事例の場合も、人前でしからない配慮が必要だと筆者は説く。「問題社員」は人前で恥をかかされると、「上司の指導方法に問題があってトラブルが起きているのだから、私をしかるのは言語道断。だったらとことん戦ってやる」という発想になる。「問題社員」には、できる仕事をできる範囲でやってもらう。「問題社員」に成長を願っても「問題社員」はそれを苦痛に感じるだけだ。

もちろん「反抗的だから」「企業になじまないから」といって、いきなり「問題社員」と決め付けて排除してはならない、と筆者は言う。

「問題社員」は自分を認めてもらえなかったことに対して、復讐の限りを尽くす。突然の欠勤や、引き継ぎもせずに退職、極秘情報の持ち出しや破棄、自己都合退職と見せかけて、退職後に「退職勧奨された」などと言い出す。インターネットに「ブラック企業だ」と書き込み、企業のイメージを悪化させる。

本書は、「問題社員」をまともな社員に導くためのものではない。著者は、「問題社員」が出現するのは企業の社員取り扱い方法にも問題があるからだ、と指摘する。

無用のトラブルを未然に防ぐためにも「問題社員」がなぜそのような行動を起こすのか、その背景を知り、的確な方法で「問題社員」を制御してほしい。
(フリーライター:佐藤智子=東洋経済HRオンライン)

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