上海双世紀1979−2009 中川道夫著

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上海双世紀1979−2009 中川道夫著

華やかに開幕した上海万博。中国最大都市の超高層ビルの林立する都心風景を目にする機会が多い。だがそこも、ほんの20年前までは「租界都市が冷凍保存される時代」が続いていた。

著者は、1969年に初訪問以来、上海の撮影を継続。本書では、30年間見つめてきた写真家としての仕事を、カラーとモノクロで紹介する。80年代にかつての国際都市としての「歴史の記憶」をとらえたモノクロのアルバムは、いま租界時代の建築や文化遺産の保存が進みつつあるとはいえ、現在とのコントラストと、そのレトロモダンさで見る者を魅了する。

「外国人の撮影にはまだ禁止の規定が多かった」時代に中国人の労働者風を装い、当時の上海での庶民生活、人々の感情までそのまま記録。巻末対談で指摘する「人々は戸惑いつつ微苦笑するしかないような時代」が、人々の表情・しぐさに凝縮されて現れ、いろいろな問いかけをしてくるようでもある。

岩波書店 4830円

  

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