社内で反発も!エプソン「紙半減」に本気出す真意 プリンターメーカーなのに超大胆な取り組み

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これまでにも、オフィスで紙を再生するPaperLab(ペーパーラボ)を商品化しているが、導入コストや運用コストなどの経済的問題や、筐体が大きいといった課題もあり、導入実績は伸び悩んでいる。

その一方、PaperLabの中核技術である「ドライファイバーテクノロジー」を活用することで、新たなビジネスを創出することをもくろむ。

実は、3月の「Epson 25 Renewed」の説明会で、小川社長があえて触れなかったものがある。それは、環境ビジネスに関する説明で、ドライファイバーテクノロジーの応用例をあげたときのことだ。

スライドには、使用済みの紙から、再生紙や緩衝材、断熱材を生み出す事例を明確に示したが、その横に、トレイやコーヒーカップ、椅子などのイラストを描いていたことにはいっさい触れなかった。

環境ビジネスに関する説明で使ったスライド(画像提供:セイコーエプソン)
エプソンが説明で触れなかったイラスト(画像提供:セイコーエプソン)

紙を新たな材料として製品化できる

小川社長は、この部分を意識的に説明しなかったことを明かしながら、「これまではプラスチックで作っていた椅子や机などを、ドライファイバーテクノロジーによって、紙を新たな材料として製品化できるようになる」と、新たなビジネスの可能性を語る。

そして「紙は天然由来の資源であり、石油由来のプラスチックのような地下資源に頼らない材料として活用できる。ここにエプソンの技術が貢献できる」と胸を張る。使用済みの紙を資源として、椅子や机などを作る技術の開発が、新たなビジネスの創出に向けた隠し玉の1つというわけだ。

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