競争力減退が著しい日本の航空業界、外資規制を撤廃すべきだ--ジョバンニ・ビジニャーニ IATA(国際航空運送協会)事務総長兼CEO
また、過去10年間で、中国の国際線市場の提供座席数は週当たり50万席から140万席へと成長しているが、日本の国際線は120万席から130万席とほとんど変化していない。ぜひとも、政策の見直しや再編を前原大臣に期待したい。
--日本は航空行政の転換が必要ということですか。
先日、成田で滑走路が延長され、10月には羽田の新滑走路も完成する予定だ。また、アメリカとのオープンスカイ(航空自由化)協定も締結するなど、日本では一定の改善はある。
ただ、今こそ必要なことは、60年前のシカゴ条約で唱えられた業界の古いルールの廃止である。
つまり、日本を含め航空業界の負の遺産として残っている、外資規制の撤廃ということだ。金融危機の時期、各航空会社は資金調達に懸命に努力しても、国際市場のどこからも資金調達ができなかった。その理由はやはり20%ないし25%(日本は3分の1)といった各国の外資規制ゆえだと思っている。おカネにはそもそも国の旗というものはないはずだ。
これに関して、IATAでは規制緩和すべきとの姿勢で話し合いを持っている。昨年11月にモントリオールで会合があり、いくつかの大国が規制緩和の方向が正しいことを唱えた文書「アジェンダ・フォー・フリーダム」にサインした。拘束力を持つ文書ではないものの、欧州委員会、米国、シンガポール、チリ、パナマ、UAE、マレーシアなどが合意した。会合後もクウェート、バーレーン、レバノンなどが合意。日本もぜひ合意してほしい。