英会話は「習う」と「慣れ」の両方必要 日本の英語教育を変えるキーパーソン 加藤智久(2)

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スピーキングテストを早く浸透させないと

安河内:すばらしいですね。私自身、今、スピーキングテストを作ろうと構想中で、近々アメリカへ打ち合わせに行く予定なのです。いろんなところでスピーキングテストが作られる必要が今の日本にはあると思います。現状では法人向けだけということですが、一般のレアジョブ英会話ユーザーもスピーキングテストが自由に受けられるような態勢を、ぜひ早く整えてください。

加藤:はい、そうなるように動いていきたいです。まさに今、社内で話し合っている最中ですので、皆さまにも期待して待っていていただきたいです。

安河内:CEFARのCan-doリストも参考にしてテスト作りするというのは重要なポイントだと思うので、これはぜひ維持してもらいたいですね。テスト作成の過程や評価方法を開示しておくことは、テストの信頼性を高めるために大切なことですから。

また、100点、200点満点など、わかりやすいスコア設定にして、スコアごとにどれほどのCan-doに対応しているのかも明確にしておくといいですよね。

加藤:そうですね。今後とも、ぜひご意見をいろいろ聞かせてください。

安河内:もちろんです。私も自分のテストを作る予定ですから、どちらがいいものを作れるか競走しましょう。もっとも私はポケットマネーでやるだけですから、レアジョブの資金ベースにはかないませんが(笑)。

加藤:いえいえ。ですがお互いに切磋琢磨して、よりよいスピーキングテストを作っていきたいですね。スティーブ・ソレイシィさんも独自のスピーキングテストをお持ちですよね。

安河内:ええ、SPM Interview Testですね。ソレイシィ先生とはこの連載でインタビューさせてもらったときに、スピーキングテストについてじっくり話したんですが、彼いわく、We’re all brothers and sisters.なんですね。TOEICスピーキングテストもBRATSもこれから新しく登場するものも、皆、兄弟姉妹のように一致団結せよということですね。今はまだL(リスニング)とR(リーディング)のテストに支配されている日本に、スピーキングテストという新しいスタンダードを早く定着させねばならない。

それには団結して普及させるのがいちばん。最後に誰が勝ってどのスピーキングテストが普及しても恨みっこなしで頑張っていきたいね、と話していたのです。最終的にスピーキングテストを浸透させることで、より多くの日本人が英語を話せるようになればいいわけですから。

加藤:レアジョブ英会話のスピーキングテストも、その中のひとつとして一緒に頑張っていければいいと思いますね。

安河内:私も頑張ってスピーキングテストを作ります。

加藤:一企業が作ったテストがトップのものになった事例はこれまでもないと思うし、レアジョブ英会話のスピーキングテストがトップになれるとは、開発した当初は考えていませんでした。むしろ会社としての骨格を作るときに、カリキュラムのひとつとして必要だと思って取り入れただけなんですよ。

安河内:おっしゃる意味はよくわかります。効果測定のない教育ってなかなかうまくいかないんですよね。もちろん評価に縛られてしまうのはよくありませんが、自主性に任せるというだけだと、結局、すごくやる気がある人しか続かない。点数を可視化して見せないと、学習者も法人で英語学習を支援する企業も皆、不安になるんですよね。特に日本のように英語を日常的に使わない環境にいるとなおさらです。ですから、テストは必要悪としてはありがたいものなのです。悪であっても、やはりなくてはならない。

(構成:山本 航、撮影:宮園厚司)

※次回は8月6日(水)に掲載します。

安河内 哲也 東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師

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やすこうち・てつや / Tetsuya Yasukochi

1967年福岡県生まれ。上智大学卒。予備校講師、教育関連機関での講演などで実用英語教育普及に従事。著書に『子どもの英語力がグンと伸びる最強の学習』(扶桑社BOOKS)など。

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