ついに上場申請、LINEが描く野望 日米同時上場に照準、成長路線に死角はないのか

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普及度合いでは強敵ワッツアップの後塵を拝するLINEだが、収益源の多様化では先を走る。14年1~3月期のLINE事業の売上高は前年同期比3.2倍の146億円に拡大。13年の実績では、6割を『LINE POP』などのゲーム課金、2割をスタンプ販売、2割を企業公式アカウントや企業キャラクターなどを使ったスポンサードスタンプなどの広告収入が占めた。一方で、「売り上げ規模はまだ小さく、ゲーム依存度が高いのも懸念材料。どこまで安定して成長できるかは未知数だ」(大手証券会社アナリスト)との評価もある。だが、世界でスマホユーザーがまだ増えつつある現段階で何より重要なのは、ユーザー獲得合戦における勝利だろう。

強みを持続できるのか

今後も加速度的な成長を続けられるか(撮影:吉野純治)

上場を実現することで認知度を高めたり、資金調達の手段が増すなど複数のメリットがある。ただ、懸念がまったくないわけでもない。

現在、韓国ポータルサイト最大手ネイバーの100%子会社だが、4月の東洋経済の取材で舛田淳上級執行役員は「日本で決められないことは何もない」と、機動的な意志決定ができる強みを語っていた。さらに舛田氏は「ネイバーが100%の資本を持つからこそ、迅速な判断ができた。いろいろな資本が入っていたら、『3カ月以上先のことは考えない』とは言えない」とも話していた。

要は、親子関係の中でこそ“放任”が実現できていたといえる。一方、上場によってステークホルダーが増加し、監視の目も増える。そうした中、従来通りのスピード感で経営戦略を実践できるのかがポイントだろう。いずれにしても、「世界ナンバーワンのモバイルサービスになる」(LINEの出澤剛COO)という野望に向け、日米での上場が大きなカギを握っている。          

(LINEの詳細は週刊東洋経済2014年4月26日号の巻頭企画「LINEの死角」に掲載)

長谷川 愛 東洋経済 記者
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