『シャッターアイランド』--英語も経済力?《宿輪純一のシネマ経済学》

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 前回ご紹介の『アリス・イン・ワンダーランド』のジョニー・デップとティム・バートンといった俳優と監督の名コンビはほかにもある。今回ご紹介する『シャッターアイランド』にけるレオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督のコンビもその一つ。組んだ作品は『ギャング・オブ・ニューヨーク』『アビエイター』『ディパーテッド』と本作も入れて4本。前回組んだ『ディパーテッド』はアカデミー作品賞・監督賞など受賞した。

ディカプリオはイタリア系+ドイツ系のアメリカ人で74年生まれの35歳。最も人気のある男優の一人である。ほかにも『ギルバート・グレイプ』『ロミオ+ジュリエット』『タイタニック』『ブラッド・ダイヤモンド』 など秀作に出演している。まだアカデミー賞は受賞していないものの、個人的にも今後の活躍に筆者もたいへん期待している。

本作品は“ミステリー”で、ディカプリオは連邦保安官テディ・ダニエルズに扮する。シャッターアイランド(Shutter Island)とは、その名のとおり「閉ざされた島」。精神疾患のある犯罪者を隔離収容するボストン沖の孤島の刑務所である。

シャッターアイランドで1人の女性が、忽然と謎のメッセージを残して失踪した。連邦保安官テディはこの失踪事件を捜査するため、相棒チャックと島にやってくる。しかし異様な雰囲気の中、テディが調査を進めるうち、島の謎に気がついていく。テディがこの島に来たのはほかにも理由があったのである。

モノトーン系の重い雰囲気は、このミステリーを単純な推理小説ではなく、何か普通ではない異常な事態をわれわれに理解させる。ディカプリオの苦渋の表情が象徴的で迫真の演技である。

結末を強調する宣伝がなされているが、謎解きというよりは、結局、重い気持ちのままで映画館を出ることになろう。

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