(第4回)「「企業の倫理憲章」に共同宣言している企業の本音は?」~採用担当者の本音をアンケートで聞く~(その2)

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一方で、非メーカー企業を中心に、大学院生の採用数が少ない企業、文系と理系採用のスケジュールが変わらない企業は「これまでどおり変わらない」という答えが多かった。

その他、以下のようなコメントが見られた。

・「加速する就職活動の早期化にストップがかかる良い方策なのではないか」

・「今回の改正により、採用活動の早期化に一定の歯止めがかかることを期待したい」

・「趣旨には賛同する。修士以上については、本人の研究内容が採用可否の大きな判断材料となる。研究内容について本人が理解する前に就職活動をしても、本人も企業側も事業内容とマッチングできない。さらに研究自体も疎かになり、学生にも企業にも悪影響。ただし、推薦受験の学生については、その企業の選択のみしか与えられていない場合もあるので、早めに結果を出すなど、配慮(企業と学校側の柔軟な対応)が必要」

・「優秀な学生が集中しやすい外資系金融や戦略系コンサル企業がほとんど含まれていないので、あまり意味をなさない」

・「例年、院生に対してアクチュアリー採用を先行して実施しているが、倫理憲章を遵守する」

・「対象学生が明確になったという点で大事なことであると思う」

・「修士なので研究に集中するためには大切なこと。一方で大学生として推薦を充実させるなどして就職へのフォローを行うことも必要」

・「基本的には大学も大学院も就職に関する倫理はおなじであるべき」

・「学事日程の優先という倫理憲章の趣旨に即しており妥当」

・「就職活動で修士の研究に支障がおきているのは事実だが、憲章だけではこの現象を解決するのは難しいと思う。産学協調で解決すべき課題と考えている」

・「業務繁忙期と重なり対応に苦慮、春休み期間中は可とすべきでは?」

・「採用開始時期がいたずらに早期化するのは良くないが、学業に専念させるために卒業年度まで控えよ、というのも合理的な理由とは言えない。卒業年度前の春休みにスタートしたほうが、親切でないか?」


●倫理憲章再検討の時期

超採用難の時代、守った企業が圧倒的に不利になるルールが守られにくいのは自明である。大学院生の採用ではすでに選考を行っている共同宣言した企業も少なくない。

「守らない(守れない)ルールは作らず、作るのであればもっと拘束力のあるものにしないといけないと思う。学生にルールを守れと言う先輩が率先してルールを破っているのでは、この国に未来はないのでは?」(※)というある採用担当者の言葉はもっともだ。日本経団連もこうした採用現場の声にそろそろ耳を貸す時期が来たのではないだろうか。
(※)文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の企業アンケート(2007年5月)より

採用プロドットコム株式会社

(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
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