23区民が引越した「非」大都市トップ10ランキング 「23区内移動」と政令指定都市9市を除いて算出

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東京都内で上位に食い込んだのが、太宰治が過ごした街として知られる三鷹市だ。人気の街・吉祥寺を抱える武蔵野市の陰に隠れがちだが、JR中央線三鷹駅から新宿駅まで特快で15分という利便性は侮れない。人口は19万1119人(5月1日現在)。19万人の自治体に23区からの転入者が年間4000人超というのはインパクトが強い。

緑に恵まれた三鷹市(写真:筆者撮影)

「三鷹の最大の魅力はやはり緑の多さ、自然環境の豊かさでしょう。武蔵野市とまたがる井の頭公園をはじめ、玉川上水など、市内には240もの都市公園や児童遊園、広場、緑地が点在しています。

先日歩いていたら小麦畑を発見しましたよ。吉祥寺駅からバスで15分ほどのエリアには30代ファミリー向けの戸建て住宅が多くなりましたね。コロナ対策では昨年6月に独自のPCRセンターを開設するなど頑張っていると思いますよ」(三鷹市民)

表には掲載していないが、23区からの転入者数を見ると、都内では調布市(4426人)、西東京市(4094人)も人気となっている。

新幹線で1時間「軽井沢」人気化の背景

次に、町村で転入超過数(日本人)が多い自治体をまとめてみた。上位5町村は、中核都市などのベッドタウン化が進んでいたり、大型の商業施設が存在するなどインフラ整備が進み、人口が増加している。

この中で注目していただきたいのが、100年以上の歴史を誇るリゾート地、別荘地として知られる軽井沢町(長野県)だ。

名作『風立ちぬ』の著者・堀辰雄がこよなく愛した土地でもある。ちなみに『風立ちぬ』は昭和11年に信濃追分の旅館「油屋」で書き始められたが、その後、旅館が全焼。最後は軽井沢の川端康成の別荘で書き上げられたという。

さて、そんな軽井沢がコロナ禍で注目されている。ひとつは自然豊かなリゾート地でのテレワークの舞台としてである。軽井沢町では2018年に官民一体の「軽井沢リゾートテレワーク協会」が設立され、リゾートテレワークやワーケーション推進に取り組んできた。

避暑地としても人気の軽井沢。写真は旧三笠ホテル(じゅらいじゅらい / PIXTA)

町内には20か所以上のコワーキングスペースやサテライトオフィスなどの施設があり、多様なワーカーを受け入れているという。リゾート地のリモートワーカーたちは別荘所有者、移住者だけでなく、東京と軽井沢の拠点を往来している人々も少なくない。

新幹線通勤者が600人という情報もあるほどだ。コロナ禍で一連の動きに拍車がかかったことは間違いないだろう。

そうした背景があり、軽井沢町の人口は急増中。2020年1年間では478人の増加となり、増加者数は長野県ナンバー1となった。3月1日時点の人口は2万903人。2020年の日本人の転入超過数は526人で、東京23区からの転入者は510人にも達した。

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