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“サ高住”は、マーケティングを緻密に行えば
安定したビジネスになる 明治大学 理工学部建築学科 園田眞理子教授

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地域資源活用という視点が必要になる

明治大学
理工学部建築学科
園田眞理子教授

2014年6月末時点で15万1667戸と順調に登録戸数を伸ばし、ますます注目が高まっている「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)。サ高住とは、11年に改正された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)に基づき自治体に登録された、高齢者単身・夫婦世帯が安心して居住できる民間の賃貸等の住まいのこと。一定の面積、設備、バリアフリー構造などの要件を満たした居住空間と、そこで暮らす人の「安否確認」「生活相談」という二つの見守りサービスの提供が必須となっている。

国は20年までに60万戸という目標を達成するために、補助金、融資、税制優遇を用意して、サ高住の供給を促進し、冒頭のように登録数も順調に伸びている。ただし重要なのは、ニーズに即した住環境とサービスの質だ。

「サ高住の実態調査を行ったところ、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホーム(有老)と同様に介護してもらうことを目的にサ高住への住み替えをした人が7割強、食事や買い物など日常生活への不安から見守りサービスを求めて早めの住み替えをした人が2割強でした。サ高住は、こうした需要をセグメント化し、それに向けたターゲティングを行うべきではないでしょうか」と指摘するのは、明治大学理工学部の園田眞理子教授だ。

サ高住において大切になるのは、その地域で暮らす高齢者の住まいと生活支援・サービスを担う「地域資源活用」という視点だと園田教授は強調する。

「今、高齢者が人生の最期まで24時間365日安心して暮らせる環境を整えましょうということで、『地域包括ケアシステム』の構築が推進されています。このシステムが想定する日常生活圏域は、だいたい中学校区程度のエリア。この区域を単位に、地区の需要に応じて介護サービスの提供体制やデイケアはいくつ、特養はどこに、などと考える必要があります。サ高住もこの地域包括ケアシステムの一つのパーツとして位置づけ、適切に配置される必要があります。サ高住を運営する事業者は、少なくとも地域の高齢者の数、本当に住み替えが必要な人の数を把握すべきですし、同時に求められているサービスやその地域の自治体の施策まで調査する必要があります。こうしたマーケティングを緻密に行いさえすれば、安定したビジネスモデルが構築できるはずです」。

サ高住には、まだまだ可能性があるようだ。

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