メスがオスを選ぶのが動物一般の大原則--『女は男の指を見る』を書いた竹内久美子氏(動物行動学研究家)に聞く

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--多くの男性は自分の意思で女性を選んでいるつもりでは。

もし一夫多妻であったらと男に聞くと、たいていハレムにいる自分を想像する。しかし、男と女がほぼ同数であり、一夫多妻は人気のある男に女が集中するということだから、あぶれる男が続出することになる。

もう一つ、男が勘違いしているのは、ハレムを構え、自分がスカウトして集めることができると思っている。選択のベースはあくまでメスにあり、このオスなら第二夫人でもいい、それだけの価値があると思った場合になびくのであって、男がかき集めているわけではない。

--一夫多妻は赤道近くに多い?

文化人類学的に調べた研究がある。赤道に近く高温多湿地域ほど一夫多妻の度合いが強い。パラサイトの脅威が強いと、女はそれに強そうな男を選ばないといけない。いろいろいる中で強そうな男、魅力のある男は限られている。どうしても相手は集中してしまう。それが一夫多妻という結果となって現れる。動物行動学で考える一夫多妻は、宗教や倫理の問題では全然なくて、パラサイトの脅威でそうなると考える。

(聞き手:塚田紀史 =週刊東洋経済2010年5月15日号)

たけうち・くみこ
1956年生まれ。京都大学理学部、同大学院博士課程を経て著述業に。専攻は動物行動学。88年に『浮気人類進化論』でデビュー。その後、『そんなバカな!』『ワニはいかにして愛を語り合うか』『男と女の進化論』『シンメトリーな男』『遺伝子が解く!万世一系のひみつ』『草食男子0.95の壁』など。

『女は男の指を見る』 新潮新書 714円


  
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