ブリヂストン、ゴルフブランド刷新の思惑 全英オープンで宮里優作も「Bマーク」を使用

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黒をベースに白と赤でコーディネートされた、新ブランドのゴルフクラブ

2013年12月期の売上高は224億円で最終赤字となっており、ピーク時の売上高465億円(2005~2006年度)に比べるとほぼ半減。昨年は社内で早期退職を大々的に募ったほか、契約プロゴルファーの数も絞り込み、ゴルフ業界で話題となっていた。

ブランド力低下の背景には、国内男子ツアーの人気下落がある。日本の男子ツアーの試合数は1990年の44がピークで、今年は24どまり(今年の女子は37)。日本での男子ツアーの価値が下がる一方で、松山英樹や石川遼が主戦場とする米国男子ツアー(PGA)は、世界の一流プロが集まるフィールドとして市場価値は高まっている。

日本市場のツアーステージブランドに投資を続けていくのか、国内外でブリヂストンブランドを訴求していくのか。グローバル戦略を強化している親会社にしてみれば、後者を選択するのは当然といえるだろう。

消費者のニーズが一変

気になるのは、ツアーステージブランドの行方だ。「(当面は)併存する。ツアーステージのファンは多くいる。今後の進め方については熟慮していきたい」とBSの梶哲也社長は話す。だが、「ブリヂストンゴルフとファイズの2ブランドに集約するのではないか」と、あるゴルフ用品メーカーOBは指摘する。

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ゴルフボールのラインナップは、ヘッドスピードに合わせて用意

かつては、ジャンボ尾崎が使う「J’s」シリーズだけで100億円超を売り上げた時代もあった。その後継ブランドとして1998年に生み出され、多くのプロやアマチュアゴルファーに愛用されてきたのがツアーステージだ。

だが、それから十数年を経て、ゴルフ市場を取り巻く環境や消費者のニーズはガラリと変化した。「昔はプロが使うクラブを使いこなしてこそ本物という意識もあったが、今は道具を人に合わせる時代になっている」(ゴルフ業界に詳しいジャーナリスト)。こうした時代の変化に対応しなければ生き残れないのが、ブランドビジネスの難しさだ。

今週開催される全英オープンに出場する宮里優作、近藤共弘をはじめ、国内外の主要契約プロは今後、同じBマークのキャディバッグやバイザー、クラブなどを使用することになる。グローバルブランドはBS復活の起爆剤になるのか。ブリヂストングループの本気度が試されている。

(撮影:風間仁一郎)

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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