「今やらないと、日本のクルマは負ける」

エンジン研究の共同組織AICEのトップに聞く

一方、日本ではメーカー同士はライバルという関係が基本だ。物理現象の解明や解析技術の開発といったFVVが手掛けている共通基盤技術のような分野でも、牽制しあっており、協力する雰囲気はなかった。また、開発ツールはドイツのような共通化ができておらず、メーカーごとにバラバラで開発効率が悪い。大学での研究でも、エンジン分野には予算が割かれず、設備も老朽化している。メーカーは大学に大規模な最先端の研究委託を行うこともない。

欧州にあって、日本にないもの

――共同で行う基礎研究の主なテーマや課題は。

年々厳しくなる二酸化炭素排出量(燃費)規制や、世界各地で異なるさまざまな燃料に対応するため、自動車メーカーは多様な技術開発に取り組む必要がある。燃焼解析といった一部の開発工程は、専門のエンジン開発会社に委託して行うようになっている。

共同研究という異例の取り組みに踏み切ったのは、強い危機感の裏返しだ。

ところが、こうした開発を請け負える実力を持つのは欧州のエンジン開発会社が中心で、日本にはない。大学の先端的な研究との連携や人材の厚みなど、開発専門会社が成り立つ基盤が日本にはないからだ。

欧州の開発会社の場合、専門分野では自動車メーカーをしのぐ設備と能力を持っている。確かに、こうした会社に委託すれば短期的には開発効率が上がる。しかし、委託した部分については日本メーカーの技術力が上がらない。逆に開発会社は多くの日本メーカー会社から受託することで、技術力をさらに蓄積していく。

日本にも開発専門会社が成り立つような産学連携の仕組みを作らなければ、欧州勢との差はさらに拡大していく。今の状況では、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのいずれでも欧州勢を追い抜けないだろう。 

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ビームスの流儀

1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。