SNSで業界が一変、米新興メディアの拡散力 新興勢の台頭で斜陽業界に再び注目が集まっている

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伸び盛りの新興メディアの特徴は、SNSを介して記事の「拡散」に注力する点だ。

ある大手紙の幹部によると、自社サイトを直接訪れる読者は大きく減り、フェイスブックやツイッターからの訪問者数が急増。あるネットメディア幹部に言わせれば、「デジタル時代のフロントページ(1面)は、ソーシャルメディア」なのである。

実際にバズフィードは、「どういった記事がなぜ拡散されるのか、というジョナ(・ペレッティ創業者兼CEO)の興味本位で始まった」(国際事業担当のスコット・ラム副社長)。ネコの画像を大量に載せることで存在が知られた同社だが、実はその拡散手法はかなり緻密だ。

ハイテク企業が生き残る

サイト上に「カワイイ」「爆笑」などの感情項目を設け、読者が各カテゴリーに当てはまる記事を読めるようにした。社内にデータアナリストを抱え、どういう見出しや記事が拡散されやすいかを分析するほか、独自のアルゴリズム(計算方式)を採用して、記事がどの程度拡散するかも探る。記者を採用する際も「ツイッターのフォロワー数が多く、どういう見出しが拡散されやすいか知っているかも重視する」(同)という徹底ぶりだ。

もう一つの特徴は「メディア企業であると同時に、ハイテク企業でもあること」(同)。社内に大量のエンジニアを擁することで、設立当初から、記事の編集・配信方針に沿ったコンテンツ配信システムを開発できた。

新興メディアの大半は記事を無料で配信し、広告収入で稼ぐビジネスモデルを志向。その広告も従来のバナーではなく、「ネイティブ広告」という、日本の“記事体広告”に近い。こうした広告は通常の記事と交ぜて掲載(ただし広告とはわかるように)。広告でも拡散されやすい内容や配信手法を追求している。

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