(第6回)会いにいくための汗はかかなければならない【東京海上日動火災保険】

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(第6回)会いにいくための汗はかかなければならない【東京海上日動火災保険】

就職ブランド企業として根強い人気を誇る東京海上日動。ミレアグループの中核企業として今後その採用戦略はどうなっていくのでしょうか。

今回はこの東京海上日動の採用をマルハダカにします。

※会社/採用データは、インタビューの後に掲載しています。


中尾誠樹氏 --まず採用全体の考え方や姿勢について教えてください

スローガン風にいえば「自分で考えて行動する個性豊かな人材」になります。しかし、肝心なのは、一見してどの企業にでも通用しそうなスローガンを「自社ではどう考えているのか」応募者の方々にいかに理解していただくかです。
当社では、大前提となる施策として、採用情報のディスクローズを重視しています。その根底にあるテーマは、最大の悲劇であるミスマッチを回避すること。そのために様々な選考の局面において、当社と応募者の方々が対等な関係で「合うか、合わないか」を確かめあう機会を提供しなければならないと考えています。当社はビジネスにおいてWin&Winの関係を重視しますが、採用においても同様にWin&Winを成立させることが当社の基本姿勢です。

--新卒採用で例をあげれば、どのような取り組みがありますか

就職活動中の学生を対象に毎月開催しているインターンシップでは、当社が大事にしているビジネスモデルをとりいれたプログラムに真正面から取り組んでいただいています。目的はインターンシップへの参加を通じ、当社のWin&Winのビジネス姿勢とは何を指すのか、どういう行動をとることによって実現しているのかを伝えることです。
最終的に当社を受けるかどうかを判断するのは学生さんです。私たちはその判断のために必要な情報を、選考に至るまでのすべての機会において積極的に開示することに力を注いでいます。分かりやすく言えば、応募者自らが「合わないから受験しない」いう判断が可能なレベルでの情報開示と申し上げていいでしょう。

--超採用難の時代、学生を引き付けるために良いところばかりを強調する企業が多いようです

就職活動での会社の印象が一生の印象になる可能性があることを意識しないわけではありません。しかし、国民のほぼ4人に1人がお客様である当社としては、採用においても、社会全体を見据えた視点でコミュニケーションをとることがひとつの社会的責任だと考えています。良いことばかりを言って就職と採用のミスマッチを引き起こすよりも、企業側が採用活動の場を活用し、社会全体のプラスを考えるという観点があった方がいいと思います。

--かなり以前から、就職支援にも比重を置いた取り組みをされていますね

そもそもの就職支援のきっかけは、就職意識の成熟していない学生さんと出会う確率が高まったことです。その大きな原因は、OB・OG訪問が就職氷河期に衰退したことではないかと分析したのです。就職活動する学生全体がコミュニケーション不足なのではないかと。そこで当社は採用コンセプトを「会おう、話そう」とし、リアルな場でのコミュニケーションを通じて、就職に対する理解、会社に対する理解を促すことに注力しました。

--内定者がコミュニケーターとなって運営している就職支援のイベントについて教えてもらえますか

全国で約30大学、大学ごとに立候補で決まった2~5名のリーダーを中心に、イベントの運営に当たります。単純計算ですが、当日のイベントだけを手伝う内定者もあわせれば、内定者の約半数が何らかの形で参加しています。
内容も運営もすべて内定者の意思に任せた自主参加形式をとり、義務的なものは一切排除しています。大学ごとに運営するのは、単に地域性や学事日程などの動きやすさを考慮しているだけです。したがって交通費や食事代などは一切出しませんし、何人の学生さんを集めるという数字的な目標も会社側から設定することはありません。毎年10~11月に実施しているのですが、それは就活を終えた内定者が最も動きやすい時期というのが理由です。採用メンバーの関り方としては、行き詰まっている際に「自らの意思でやろうと言ったことはやり遂げなさい」という具合に適度な刺激を与える程度です。当社が考える「自分で考えて行動する人」とは如何なるものか、このような機会から指導が始まっているのかもしれませんね。
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