高齢者が激増、迫る「医療危機」の実態 最期を穏やかに過ごすのは、本当に難しい

拡大
縮小

一方で、2030年までに病床利用率や平均在院日数、入院受療率を、現状より10%改善させると、右の地図のように、東京中心部とその周辺を除き、危険率を示す色は消滅する。10%改善という目標は容易ではないが、早急に医療の仕組みを変えていく必要があることは明らかだ。

 また、高齢者が増えると、医療機関の数量的な面だけでなく、その目的は「治す医療」から「治し・支える医療」へ変わる。看取りまで含めた在宅医療を行う主治医の増加や、介護との連携などを加速させる必要がある。

 国民皆保険や高額の自己負担回避、フリーアクセス(どの病院・診療所でも自由に診療を受けられること)を維持しながら、世界最高の平均寿命を実現したニッポンの医療。世界の歴史上、類を見ない超高齢化社会に突入したとき、何が課題となり、それはどのように乗り越えることが可能なのか。その全貌を明らかにする。


日本の医療は、どこへ向かおうとしているのか。どこよりも深掘りしたのが、週刊東洋経済7月19日号(14日発売)の特集「医療危機」(全40ページ)です。詳細は、同特集をご覧ください。

 

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT