マンション住民を悩ませる「隣人の騒音」の正体 マンション内で発生する2種類の音の仕組み

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マンションで固体音といえば床にものを落としたり、床をたたいたりしたときのコンコンという音や、人がドスンと床に飛び下りたり、ドスドス走ったときの下階の住戸に聞こえる音、ドアやふすまを勢いよく閉めたときのバタンという音(これを「戸当たり音」といいます)などが該当します。

また風呂場で水を流したときの音やトイレの給排水音、エレベーターの音なども配管や壁を通して振動が伝わった音で固体音となります。

空気音と固体音では伝わり方が異なる

このように空気音と固体音は音の伝わり方が違うのです。空気音の場合は、音が空気を振動させて全方位に球体状に伝わっていきます。この場合、音源から遠ざかれば遠ざかるほど、音は小さくなります。また音が伝わる途中に空気の振動をさえぎるようなもの(たとえば壁や天井など)があれば音が小さくなります。

やっかいなのは固体音のほうです。マンションにおける音のクレームでも、深刻なものは多くがこの固体音です。固体音は床や天井、壁などの固体を通して伝わります。

マンションの場合、天井や床、壁は建物の躯体(躯体というのはマンションの主要な骨組みのことです。柱や梁(はり)床や壁がこれに該当します)としてすべてつながっているので、ある1カ所で発生した音でも、躯体を通して遠くまで伝わっていきます。

空気音と違って、音源から遠く離れたからといって、空気音ほど音が小さくなるわけではありません。空気中に比べて、固体のほうが音の減り方が小さいからです。そのため、固体音は、音源の場所が予測しにくく、予想外のところに伝わるという特徴があるのです。

空気音と固体音では、音の伝わり方が違いますので、伝わり方に応じた対策が必要になります。

まず空気音ですが、音は空気の振動によって伝わります。この振動をさえぎることができれば、到達音は小さくなります。たとえばステレオが大音量で鳴っていても、ふすまを閉めれば、音は少し小さく聞こえます。またステレオにふとんをかぶせてしまうと、空気の振動はさえぎられ、音は少ししか聞こえません。

つまり空気音を防ぐには、音源の周囲の壁や床、天井、ドアに遮音材や吸音材を併用することで、音の伝わり方を小さくおさえられるというわけです。

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