リモート強制された大学生たちの偽らざる本音 オンラインが当然の環境で育った世代の新常識

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大学生が再びキャンパスへ当たり前のように通う日は来るのでしょうか(写真:xiangtao/PIXTA)

新型コロナウイルスの影響で、大学生の通学日数は大きく減少しました。就職情報大手マイナビが2022年に卒業予定の大学・大学院生を対象に実施した調査によると、1週間の登校日数は平均で1.8日となり、前年に比べて56%減少しています。

「まったく行っていない」と回答した学生が全体の34.8%で最も多く、次いで「週1日」が20.8%でした。特に関東の文系学生は1週間の通学日数が少なく、66.9%が「まったく行っていない」と回答。関東ではここ10年で大学立地の都心回帰が進んだことから、キャンパスの開放に慎重になった大学が多くなったのでしょう。

「以前は友人と話したり、食事したりすると頑張ろうと思えたけど、モチベーションを保つのが難しくなりました」

冒頭で紹介した磯田さんは、オンライン導入後しばらくは、チャット機能で対面よりも質問しやすく、約2時間半あった通学時間をバイトやインターンシップにも充てられる利点を感じていたものの、授業を視聴して課題をこなすだけの日々が続くことで次第にストレスを覚えるようになったと言います。

授業ならオンラインで十分

いわゆる「キャンパスライフ」が失われたことで、孤独感や喪失感にさいなまれる大学生は多く存在します。大学生活は、学びだけでなく人生に大きな影響を与える出会いが多い貴重な時期です。学生の満足度が低下するのはもっともです。

学生のオンライン授業に対する絶望感や落胆ぶりなどをあおる報道も多く見られますし、世の中では「リアルな学びの場が必要である」という論調が主流です。

しかしCCCマーケティング総合研究所が主催している「学生マーケティング研究会」が実施した「2020年度大学生の学びと環境」に関する調査(2021年3月10日~15日/2020年度大学1年生~6年生941人)からは、大学生は「授業に関してはオンラインで十分」と考えている実態が浮き彫りになっています。

2020年度大学の学習で実施したことの中で、満足にできた度合いが最も高いのは、「ゼミ活動・研究室」でした。授業がオンラインなる中、比較的対面で行われていたのがゼミなどの小規模な授業で、一定の満足度は得ていたことが結果に表れています。

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