台湾の「至宝」を見に行ってみた! とっつきにくそうな中国の書画を、今度こそ

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吸い込まれそうな青 

『青磁槌形瓶』 汝窯 北宋時代 11~12世紀 台北 國立故宮博物院蔵

この瓶の吸い込まれそうな青い色は、ぜひ実物を見てほしいと塚本さん。

「雨の過ぎたあとの青空と言われています。瓶の底裏に、またまた乾隆帝が文字を書いています。この瓶には花がさされていないけれども、花のような香りが漂っている、といった詩が書かれています」

最後は「皇帝のおもちゃ箱」。皇帝が身近に置いて楽しんだと言われる。

「これは皇帝コレクションの縮図なんですね。自分が持っている古今東西の美術品をミニチュアにして、箱に収めています。ルビーもあれば、仏像も磁器も書もある。自分がすべてを手中に収めていることの象徴だと思います」

『紫檀多宝格』 清時代 乾隆年間(1736~95年) 台北 國立故宮博物院蔵

「今回はひとつの作品で論文が何本も書けるような、貴重なものがたくさん出品されています」と塚本さん。連日行列ができていた『翠玉白菜』の展示が終了した今からのほうが、一点一点をゆっくり楽しめそうだ。


「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」
 

2014年6月24日~9月15日

東京国立博物館
 東京都台東区上野公園13-9
 TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
 9:30~17:00(金曜は20:00まで、土・日・祝・休日は18:00まで、入館は閉館の30分前まで)
  7月14日、22日、28日、8月4日、9月1日、8日休み
  一般1600円、大学生1200円、高校生700円、中学生以下無料

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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