憧れの列車「ロマンスカー」撮り続けた半世紀 SEからGSEまで秘蔵写真でたどる小田急特急史

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小田急ロマンスカーは、筆者がとくに撮影に力を入れた私鉄特急である。本格的に撮影に取り組んだのは1977年、当時執筆していた『ケイブンシャの大百科』の取材の際だった。

当時の花形は1963年にデビューした「NSE」3100形で、取材した列車はもちろんNSE。新宿から箱根湯本まで全区間の同乗取材を行い、車内では展望席の最前列から車窓風景を捉えるとともに、名物だった「走る喫茶室」のサービスの様子などを追った。

展望席からの車窓で最も注目していたのは、箱根登山鉄道に乗り入れる小田原―箱根湯本間の「三線軌条」だった。現在、同区間は小田急の車両しか営業運転しないようになり、線路も一部を除いて小田急の1067mm軌間になっているが、当時は登山鉄道の1435mm軌間と共用するため3本のレールがあり、とくに複雑なポイントの部分などの眺めは興味深かった。

偶然捉えた「EF58+LSE」

その取材から3年後、新世代のロマンスカーとして「LSE」7000形が登場した。LSEのデビューは完成記念式典から取材し、久しぶりに登場した新型ロマンスカーを追いかけた。

EF58形に牽引されて飯田線を走る完成直後の「LSE」7000形(筆者撮影)

今となっては貴重なのが、日本車輌製造(愛知県豊川市)で完成したばかりのLSEが国鉄のEF58形電気機関車に牽かれて飯田線を回送されるシーンだ。実はこのときの撮影の「本命」は引退間近だった飯田線の流電(クモハ52)で、LSEの回送は偶然捉えたものだった。当時はほかに誰もいなかったが、今なら沿線に撮り鉄が殺到するだろう。

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