(第32回)<杉山愛さん・前編>テニスに恋焦がれる

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●クラブ活動は、茶道同好会に所属

https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/-/img_f637c4d8bab897af026c4c77a6b2d6a936798.jpg  テニスの練習は忙しかったのですが、部活動として茶道同好会に入っていました。週一回という活動日の少なさもありますが、茶道自体にも興味があったので入会しました。また、中学と高校が同じ校舎で、高校の先輩に憧れていたし、先輩からもすごく可愛がってもらいました。テニスとは全く違った雰囲気で、お茶室で先生や先輩と茶道のお手前をしているときは、本当に好きな人たちと楽しい時間を過ごせているという充実感がありました。その2時間はずっと正座をしていたので、必ず足はしびれるのですが(笑)。
 女子校でしたが、ファンレターをもらったことはないのです。憧れの先輩に書いている人もいましたけど、私にはなかったですね。残念ながら(笑)。

●無視をされても毅然とした態度で向かう

 いじめとは違いますが、小学校の頃、軽い無視をされたことはあります。テニスでの活躍が目立つようになり、他のグループの子から「ちょっと無視しよう」と言われました。母に話すと、「あなたは別に悪いことをしていないんだからそのまましっかりしなさい。逆に相手にやられて嫌なことはしなければいいんじゃない」と言ってくれたので、気にしないでいたら、案の定2日後くらいにその無視していた子たちが謝りに来ました。私は別に何もしていないし、ただ相手にしていなかっただけです。もし、そのときクラス全員に無視をされていたら本当に辛かったと思います。でも、仲の良い人たちとはいつもと同じようにコミュニケーションを取っていたので、あまり気にしていませんでした。それでもそういうことをされると、気分は決して良くはないですけどね。

 このとき、母に相談できたこともそうですが、仲の良い友達との関係が変わらなかったということも大きかったと思います。また、自分がしっかりしていれば相手が謝ってくるものだというのも面白かった。何なんだろうと思いながらも、すぐに仲直りしましたけどね。
 もしそこで自分の中にため込んでしまっていたら、子どもの耐えられる限度なんてたかがしれているので、辛かったと思います。そんな時に、友達でも親でも兄弟・姉妹でも、ふだんからちゃんと話ができる人の存在は大切なのです。
(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司
杉山愛<すぎやま・あい>
1975年生まれ、神奈川県横浜市出身、茅ヶ崎市在住。
神奈川県立湘南高校卒業。15歳で日本人初のテニス世界ジュニアランキング(ITF)1位に。
1992年、高校在学中にプロに転向。 現在もプロテニスプレイヤーとして活躍するとともに、ジュニアの育成や、社会福祉活動にも強い関心を寄せている。
・主な戦歴
2000年全米オープン:ダブルス優勝
2003年全仏オープン:ダブルス優勝
2003年ウィンブルドン:ダブルス優勝
2004年アテネオリンピック:ダブルスベスト4
2007年全仏オープンテニス:ダブルス準優勝
2007年ウィンブルドン:ダブルス準優勝
※4大大会連続出場最多記録を更新中(2007年終了時点で54回)
公式Webサイト http://www.ai-sugiyama.com/
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