(第33回)<杉山愛さん・後編>テニスで学んだことは人生に置き換えられる

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●テニスで学んだことは人生に置き換えられる

杉山愛  テニスの試合は相手があって勝ち負けが必ずつきます。でも必ずしも試合で勝つだけでは勝者とは思えなかったり、逆に敗戦から学ぶこともたくさんあります。将来のあるテニスをしていくには、目先のことではなく、さらに先のことに視点を向けていかなければいけない時もあります。目標の持ち方や、短期、中期、長期のゴールの設定の仕方は、テニス以外の人生にも役に立ちます。

 学校生活など、同じような日常で、目標を見出すことはなかなか難しいです。でも、受験や、部活動など何でもいいのですが、学校生活にメリハリがつけられるような何かを見つけることは大切だと思います。若い頃はエネルギーがたくさんあるので、どこを向いていいか分からずに悶々としてしまう。違う方向にエネルギーが注がれると、アンバランスな歪んだリズムになってしまう。自分は、これがやりたいんだ、これが好きなんだと、情熱を注げるものがあると学校生活も日常も充実していきます。私の場合、7歳からテニスに集中できたことは幸せだったと思っています。
 小さい頃から、興味が湧いたことはとりあえずやってみようと思い、しかもそれを両親がやらせてくれました。そのような環境が与えられたということがラッキーでした。

●情熱を注げるものに出合うには

 最近、悲しいニュースや事件をよく耳にします。きっと何かがおかしいんだろうなと思うのですが、私が接する子どもたちはテニスをしているということもありますが、すごく元気があって良い子です。目の輝きもあり、若い子からもらうパワー、エネルギーってすごいなぁと感心しています。
 若い頃は、素直な気持ちで行動できると思うので、好きだな、楽しいなと思ったことにどんどんチャレンジして欲しい。部活動でも、勉強でも、自分は何がしたいのか、何か好きなのかということは、常に自分と向き合っていればいつか必ず見つかると思うのです。その人ならではの、その人しかできないことをグングン伸ばしていくことは素敵なことです。時期やタイミングは人それぞれだと思います。中学校の時かもしれないし、高校かもしれない、大学を出てからかもしれないですけど、自分と向き合う、自分を知ることによって、おのずと見えてくると思うのです。
(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司
杉山愛<すぎやま・あい>
1975年生まれ、神奈川県横浜市出身、茅ヶ崎市在住。
神奈川県立湘南高校卒業。15歳で日本人初のテニス世界ジュニアランキング(ITF)1位に。
1992年、高校在学中にプロに転向。 現在もプロテニスプレイヤーとして活躍するとともに、ジュニアの育成や、社会福祉活動にも強い関心を寄せている。
・主な戦歴
2000年全米オープン:ダブルス優勝
2003年全仏オープン:ダブルス優勝
2003年ウィンブルドン:ダブルス優勝
2004年アテネオリンピック:ダブルスベスト4
2007年全仏オープンテニス:ダブルス準優勝
2007年ウィンブルドン:ダブルス準優勝
※4大大会連続出場最多記録を更新中(2007年終了時点で54回)
公式Webサイト http://www.ai-sugiyama.com/
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