フジの違反で露呈「総務省」のお粗末すぎる実態 外資規制が形骸化、東北新社騒動とは何が違う?

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放送法の外資規制違反が浮上したフジ・メディア・ホールディングス。総務省の判断は「認定取り消し」には至らないというものだった(撮影:今井康一)

テレビ局への外資規制が「有名無実化」していたのではないかと思わされる事態が、起きている。

フジテレビなどを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(フジメディアHD)は4月8日、「放送法が定める外国人等の議決権比率が20%を超えていた」と発表した。2012年9月末から2014年3月末まで議決権の取り扱いに過誤があったためで、同期間は外資比率が20.00042%~20.00083%だった。

この取り扱いミスによって、フジメディアHDは放送法に違反していたこととなる。放送に用いられる電波は国民共有の財産だ。それを外資に占有されることなどを避けるため、外国人が議決権の20%以上を占めている場合、「認定放送持株会社」の認定を取り消すと定められている。

総務省は2014年に報告を受けていた

数字上は軽微な違反だが、フジメディアHDはグループ構造の大きな見直しを迫られるおそれがあった。フジメディアHDがフジテレビをはじめ、ビーエスフジや仙台放送など複数の放送局を傘下に持つことが許されているのは、認定放送持株会社であるためだ。その認定を取り消された場合、これらの資本関係を解消しなければいけない可能性があった。

フジメディアHDは2014年9月末までに議決権の計算に誤りがあったと認識し、同年12月初めに金光修社長(当時・常務取締役)らが二度にわたって総務省を訪問し、当時の放送政策課長に対して「外国人の議決権比率が過去に20%を超えていたことを相談した」(金光社長)という。

しかし、当時の総務省が下した判断は「認定は取り消さない」というものだ。2014年当時、総務省はフジメディアHDに対して厳重注意をするだけで、認定取り消しまでには踏み込まなかった。

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