モンストに沸くミクシィ、次の一手は? 森田新社長が語る、ミクシィの新戦略

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山田 モンストに続く第2、第3のヒットを生み出す自信は? そうなって初めて「ミクシィは本当に復活した」と認められる。

森田 そう思っています。僕らは世の中に新しい風を生み出していくことが大事だと思っているんです。当社の過去を振り返ると、転職サイトのFindJob!(ファインドジョブ)があって、そこからミクシィが生まれ、今まさにミクシィがやっている無料フォトブックのnohana(ノハナ)やモンストなど、常に今までにないものを生み出している。

僕自身もミクシィに来て6年になりますが、この常に新しい価値を生み続けることはミクシィのアイデンティティであり、すごく大事なことだなと思っています。

山田 なるほど。そうすると、コアコンピタンスは、ゲームを作るということなどではなく、いかにそういう新しい価値を生み出すかだと。そしてそのための体制ができているかに気をつけるということですか。

合宿で新規事業の中身を徹底議論

森田 そうなんです。だからやっぱり大事なのは人だと思っています。今のご時世、何が当たるかもわからないし、何が流行るかも読みづらい。ただ、絶対当たる分野というのがある。そこにいかに早くキャッチアップして、さらに違和感なくトライできるかが大事だと思うんですよ。

だからこそ究極はやっぱり人ということになる。新しいものを生み出すには、知らないことをずっとやらなきゃいけないし、困難なことが多い。でもそういうことに対してワクワクできる、そこに対して楽しみを見いだせるような人材をどれだけ育てられるかで、中長期的に見ると、会社が成功するかしないかがかかっていると思います。

僕自身、ミクシィに入ってからいろんなことを経験して、いろんなことを学んで、挫折を繰り返しながら、ときには成功も経験した。そういったことですごく成長できた部分がありますから、そこをスタッフみんなでやっていきたいと思っています。

ですから新規事業への取り組みは、制度化して進めている最中です。新規事業の提案者と役員が合宿するなどの取り組みは、もうずっとやっていますね。

山田 その合宿に集まるのは幹部ですか?

森田 新入社員から中堅まで、いろいろです。みんな既存事業だけでも忙しいのに、就業時間外でもとことん話し合うくらい、モチベーションの高いスタッフが多い。しかもすごくいい案がたくさん出てきます。事業化できるような見通しが立った時点で、チームを作ってやっていこうと思っています。

山田 新規事業を育てていくことに関して、ミクシィにはそれなりの知見が蓄積しているということですね。

森田 どうですかね。試行錯誤しながらですけど。ただ、僕にはモンストなどの経験があるので。もちろん立ち上げの苦しい時期はあるでしょうけど、立ち上がってからどんなふうにお金や人を乗せればいいかは、分かる。しっかりロスなく、やっていきたいと思っています。

7月11日に後編を掲載する予定です。

(構成:長山清子、撮影:梅谷秀司)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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