モディを理解すれば、インドの今が分かる 日本最速! どこよりも詳しいナレンドラ・モディ評伝

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グジャラート州はパキスタンと国境を接している人口5000万人超の州だ(wikipediaより)

2.高い規律

モディの任期中、グジャラート州を「もっともビジネスがしやすい州」と評価を受けるようになりました。グジャラート州は電力や水が滞ることなく供給される数少ない州の一つで、道路インフラは他州の羨望の的です。多くの人がこれはモディの規律に基づく組織運営の成果だと考えています。

規律の正しさは彼の清潔なファッションスタイルにも表れています。モディ自身がデザインした半袖クルタのスタイルは「モディ・クルタ」と呼ばれており、モディを象徴するものです。日課としてヨガを欠かさず、規律正しく生活して健康管理を怠らない。モディは時間の浪費を嫌い、役人に対して期限通りの結果報告を求めます。私生活でも仕事でも高い規律を求めているのです。

3.ハードワークと忍耐

モディは現場で指揮するタイプの指導者で、自身でも認めるハードワーカーです。仕事中毒ともいえるほどの仕事への飽くなき情熱は、6カ月にわたる選挙戦の間に1800もの演説を行ったことでもわかります。彼の1日は朝5時に始まり、終わるのは夜の12時。演説やミーティングで彼を見た人は「モディが全てのことに冷静に対処する、疲れ知らずの人に見えた」と言います。選挙運動中だけでなく、首相になってからもモディは熱心な現場指導者であり続けています。

パテルやヴィヴェカナンダの再来

4.変革者

BJPの創設者であるアタル・ビハーリー・バジパイ首相(任期1996、1998~2004年)がさまざまな自由化を断行したように、モディは首相として多くの変革を断行しようとしています。グジャラート州首相時代には、社会が不安定になるほど怒涛のような変革を行いました。多くのインド人は、グジャラート州で行ったような改革が全国レベルに拡がることを願っています。

5.歴史的なリーダーを継ぐ者

モディ支持者はモディに国家指導者や現代の英雄の姿を重ねるようです。インド共和国の建国の父の1人で、インドの「鉄の男」と称されるサンダール・ヴァッラブバーイー・パテルがその典型。彼はインドの独立と統一に中心的な役割を果たしました。インドが独立した時、500以上あった藩王国もそれぞれに独立をしようとしていたが、サルダール・パテルの説得で考えを翻した。英国が去った後、インドが多くの国に分裂しなかったのは彼の強力なリーダーシップが発揮されたからです。

支持者にとってモディは「第2のサルダール・パテル」、あるいは「鉄の男の現代版」ともいえます。また、モディはインドにヒンドゥー主義を復活させ、植民地時代のインドにナショナリズムを巻き起こしたレイト・スワミ・ヴィヴェカナンダにも例えられます。ヴィヴェカナンダの幼名はナレンドラ。1893年に米国シカゴを訪問する際に日本に立ち寄ったスワミ・ヴィヴェカナンダは、日本の清潔さに感銘を受け、日本人を「地球上で一番清潔な人々」と評したことで有名です。

次回以降、「インドは日本企業を待っている」とのテーマで、個別産業分野を分析します。最初は「鉄道」。17日に掲載予定です。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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