台湾での出産に「ごほうび感」が溢れているワケ 欲しかった"気遣い"がそこにはあった

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ちなみに、台湾での出産は無痛分娩が多いそう。無痛分娩は産後の母体の影響が少ないのに、こんなしっかりとした産後ケアが一般的なんてすごい……とさらに感心してしまいました。

台湾では日本の母子手帳的なものは2冊に分かれている。左が妊娠中に使う「妊婦健康手帳」、右が子どもの予防接種などを記録する「児童健康手帳」(写真提供:近藤さん) 

里帰りで自分の親にケアしてもらうと、育児方法などで意見が分かれてケンカになりつかれる……なんてのもよくある話ですが、そういう意味でもプロに頼ることの大事さが認知されているのだそうです。

そして、この「月子」文化は、台湾だけではなく、韓国や、中国や香港の中華圏で一般的なもの。日本でも、産後ケアセンターやシッターこそ一般的なものではないものの、産後1カ月の安静はかなり重視されています。

欧米での産後ケアは?

一方、欧米の多くの国では、出産入院の退院もアジア圏よりはかなり早く(中には24時間以内に退院のところも!)、私の知る限り、産後ケアもここまで細やかではない国が多い気がします。

気になるその理由は諸説あり、「欧米人のほうが丈夫」「欧米人のほうが骨盤が大きく、赤子の頭蓋骨は小さい」「欧米のほうが無痛分娩率が高い(比較的、自然分娩が多いオランダは産後ケアシッター文化が一般的)」「アジアと欧州の気候と風土病の差」「アジアの水の豊さ」などなどで、興味深いところです。

とにかく個人的には、アジア人にとってベストなのはアジアの産後ケアなのかも?とも今回の取材で思ってしまいました。

というわけで、今回学んだつかれない家族になるヒントは……

産後のつかれが不安……。

「産後ケア施設」「産後ケアシッター」に頼ろう。
出産は大仕事で、これから長く続く育児はもっと大仕事。
その前にしっかりと体をケアして準備を整えるのもアリ。

さて次回は台湾編の最終回。このご夫婦の家事育児分担とコミュニケーションについて紹介します。

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ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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