ユニクロのジーンズも担う「黒子」が挑む表舞台 あの「カイハラデニム」が一般消費者向けに販売

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並行して本腰を入れ始めたのが、アパレル以外の取引先の開拓だ。デニムの特徴は、使用方法などに応じてゆっくりと色が変化して味わいの出る点。それを売りに、オフィス・店舗の床材や自動車の内装など、従来デニムの使われていなかった分野での素材開発も異業種と協業して進める。

稲垣執行役員は「『カイハラデニム』を消費者の身の回りのさまざまな場面にあるような身近な存在にするため、あらゆる用途を想定した、固定概念にとらわれない柔軟な発想での開発をより強化したい」と話す。

ジーンズの黒子から変わる転機となるか

消費者と直接つながりを持つことができる自社でのジーンズ製品化も、こうした変革の延長線上にある。小売りビジネスをすぐに拡大する考えはないが、今後も新たな開発品はクラウドファンディングを通じた販売を検討するという。

「生産工場はメーカー目線の開発に陥りがちだが、購入者の声を直接聞くことで、新しいトレンドや機能性を取り入れた消費者目線の開発につなげたい」(稲垣執行役員)。

コロナ禍という逆境での挑戦は、カイハラが「ジーンズの黒子」にとどまらない存在へと変わる転機となるかもしれない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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