エンタメ界の神様が語る「逆張り成功論」

ソニー・コンピュータ元会長の丸山茂雄氏に聞く(上)

 丸山茂雄氏は、ソニー・ミュージックエンタテインメントでロックという新しいジャンルを切り開き、数多くの著名アーティストを育成し世に送り出した。さらに、ソニー・コンピュータエンタテインメントで久夛良木健氏と共にプレイステーション事業を立ち上げ、大ヒットに導いた。これまでの「逆張り」と「挑戦」の人生には何があったのか、そして事業創造に向けたリスクを乗り越えるその考え方に迫る。

部活をやりすぎて成績がガタ落ち

三宅:丸山さんは、日本で「ロック」を音楽ビジネスの一ジャンルとして築き上げたり、プレイステーションを世に出したりと、エンターテインメント業界では「神様」のような存在だと聞いています。事業創造という面で見ても、日本でも有数のビジネスプロデューサーであるということは間違いありません。今日はその丸山さんに赤裸々にこれまでの生きざまや、その背景にあったお考えなどをお伺いしたいと思います。

まず最初に、丸山さんのお父様は「丸山ワクチン」の開発者として有名な、丸山千里博士ですね。

丸山:そう。おやじは研究が忙しくてほとんど家にいなかったけど、子供心にたいへん尊敬していたね。酒もたばこも何もやらない、ホントまじめ一徹の研究者だったんだよ。それでかどうかわからないけど、俺自身は反抗期もない、とても平凡な子供だったよ。

三宅:意外ですね(笑)。でもそれほどお父様を尊敬していたら、自分も医師や研究者になろうと思ったのではないですか?

丸山:もちろん、なろうと思ってたんだよな。だけど勉強ができなかったから、なれなかっただけ(笑)。小学校、中学校は成績がよかったから、自分はすっかり頭がいいもんだと思っていたんだ。ところが高校に入ったときに、体を鍛えなきゃいかんと思ってラグビー部に入ったんだよね。で一生懸命練習に没頭してたら、あっと言う間に成績が下がってしまった。夜は8時には寝てたし、土日は試合だったしね。高校は小石川高校で、当時は男子300人、女子100人で、男子は120~130人くらい東大に行ってたのよ。

三宅:なんと、名門ですね。

丸山:当時はほぼ全員、東大を受けるという学校だったよ。でも、各クラスには3~4人は落ちこぼれがいて、俺も見事にそこに入った。だから担任の先生が、「ラグビー部をやめろ」っていうわけ。そんなバカなと思って、「部活は学校で認められている正式な活動です」と先生に言ったんだよ。

三宅:高校生でそんなセリフを吐いたんですか(笑)。

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