郵政改革法案は、生命保険会社の信用力にマイナス影響も、計り知れない「かんぽ」の力《ムーディーズの業界分析》


VPシニア・アナリスト
三輪昌彦

政府は、3月30日の閣議懇談会を経て、株式会社かんぽ生命(かんぽ生命、ムーディーズによる格付けなし)の保険金上限額を引き上げる方向で、郵政改革法案の策定を進めているもようだ(4月中に国会に提出される見通し)。この法案により、かんぽ生命の医療保険ビジネスでのプレゼンスが将来拡大することになれば、信用力の評価上、他の生保に対してマイナスの影響が及ぶ可能性がある。

かんぽ生命は国内最大の生命保険会社であり(2009年3月期の収入保険料ベースの市場シェアは23%)、政府が間接的にすべての株式を保有している。医療保険分野について、かんぽ生命は「入院特約」という形で商品を販売しているが、特約についても加入限度額が設定されている(1000万円と主契約の保険金額のうち、小さいほうの金額が上限)。

現在、日本の生保業界において、医療保険ビジネスは緩やかに成長しており、死亡保障保険ビジネスが縮小する中、各社の利益を支えている。郵政改革法案により、仮に医療保険分野の加入限度額が引き上げられ、これがかんぽ生命の医療保険ビジネス拡大につながれば、現在の利益の源泉となっている医療保険ビジネスの縮小に直面する生保が出てくるおそれもある。

実際の各社への影響度合いは、一連の議論の結果、単に現在販売している入院特約の上限引き上げにとどまるのか、これを機に上限引き上げだけではなく、かんぽ生命が新たな医療保険商品を特約ではなく主契約商品として販売を始めるところまで話が進むのか、といった具体的な状況次第である。

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