迷走する国家公務員制度改革、省益優先を打破するため、幹部の政治任用を徹底せよ

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 鳩山政権では、公務員制度改革を進めるため、内閣人事局設置に続いて、来年には給与法の改正など、政治主導で幹部人事が柔軟に行えるような仕組みづくりを考えている。

だが、内閣人事局に関して、「部長級以上の600人に及ぶ幹部の適性、能力を判断してポストを割り振ることなど、今の政権にできるわけがない。官僚主導の人事になってしまう」(岸教授)との見方がある。

そうなったら、内閣人事局は意味を持たない。政治主導を徹底させるなら、局長級以上の幹部200~300人程度は、いったん退職させたうえで政治任用とするぐらいの覚悟がいる。

政権が国民に約束した政策を遂行するため、官民からえりすぐった幹部が政権と命運を共にする。米国型の官僚制度である。公務員の身分保障見直しなど抜本的な制度改革が必要になるが、現状はそれぐらい病んでいるということだ。

(シニアライター:柿沼茂喜 =週刊東洋経済2010年4月24日号)

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