インフレターゲットで日本経済は救えない

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バーナンキ議長の助言に耳を傾けよ

主張(1)-「人々はデフレが解決不能だと予想している」

反論:04年に開始された内閣府の調査によると、人々は各調査の実施日から12カ月後にインフレが戻ってくると予想しているが、その予想はいつも裏切られている。

主張(2)-「人々はデフレのために消費を減らしている」

反論:この主張が正しいのなら、貯蓄率は上昇しているはずである。現実は、デフレが始まった95年以降、家計部門の貯蓄率は13%から2%へと着実に低下している。

主張(3)-「中央銀行は人々にインフレ予想を抱かせることができる」

反論:この主張は普通の人が日銀の政策について知っていると想定している。だが05年の研究では、ゼロ金利政策や量的緩和政策などの日銀の政策を知っていたのは約半数の人々であり、日銀の政策がインフレ予想に影響を与えたと回答したのは10%にすぎない。

主張(4)-「物価上昇を予想すると消費は増える」

反論:インフレ高進を予想したとき、人々は消費を減らしている。04年から09年の期間を見ると、ある四半期のインフレ予想と2四半期後の消費の伸びの間にマイナスの相関関係があった。理由は簡単である。物価上昇を予測しても、収入増が期待できなければ、(予想)実質所得は下落する。実質所得の減少を予想する人は消費を控えるのだ。

このように、インフレターゲット理論を支える仮説には疑問がある。

では、どうすれば日本はデフレを解決できるのだろうか。

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