鳩山政権「8カ月目の危機」を乗り切る法

鳩山政権「8カ月目の危機」を乗り切る法

塩田潮

 昨年11月6日更新の本欄で「鳩山内閣は8カ月目で最初の危機に」と予想を述べた。8カ月目は5月だが、4月19日発表の朝日新聞の調査で、内閣支持率は危険水域の20%台に初めて転落し、「危機」が現実味を帯びてきた。

 8カ月危機説の見立ては、政権交代の効果を見定めようとする国民の忍耐の限度、政権交代で登場した政権未経験の新首相の力量の限界や賞味期限などが判断材料だったが、戦後の政権交代の事例を見ると、新政権と新首相にとって「8カ月目」が大きな関門であることがわかる。

 1947年誕生の片山内閣は与党・社会党の内部対立が原因で8カ月目に総辞職となる。93年8月発足の細川内閣も8カ月目で崩壊した。94年6月の政権交代で生まれた村山内閣は、95年1月の阪神大震災の後、8カ月目あたりから迷走が目立ち始め、7月の参院選敗北で風前の灯となった。結局、3首相はともに政権担当意欲を喪失して早期に投げ出した。

 一方、54年12月に政権交代で登場した鳩山現首相の祖父の鳩山一郎首相は、少数与党政権でしばらくピンチが続いたが、11カ月後に盟友の三木武吉氏の仕掛けで保守合同を実現して政権の安定化に成功し、危機を乗り切る。悲願の日ソ復交と国連加盟を達成した。

 比較すると、孫の現首相には、具体的な達成目標、実行体制構築の指導力、危機克服の仕掛けと仕掛人の人材などが欠如しているのではないか。総選挙前に自ら「国外・県外移設」を公言した普天間問題は政権の大きな達成目標の一つという位置付けなら、向こう1カ月余は政権の命運を賭けて挑む勝負の時である。自身の全知力と全エネルギー、人材と情報のネットワークを駆使して立ち向かわなければならない。

 だが、もしかして当初から「普天間問題も懸案の一つ。それに政権の命運を賭けるなんて」という軽い気持ちがあったとすれば、甘い認識の首相の存在こそ、「8カ月目の危機」の真因というべきだろう。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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