警備会社の「50代部長」がTikTokで大人気のワケ 若者に「おじキュン」と評判、その狙いは…?

拡大
縮小

和田さんに、素直に楽しめているか、負担に感じていないか聞いてみると、

「自分の知らない世界が広がって行くのが面白いし、新しい自分を発見した感じです。たくさんコメントをいただけるのはありがたいけど、みなさんがなぜおっさんを好意的に見てくれているのかは、よくわからないんですが(笑)。警備業界へのネガティブイメージの払拭を目指しているので、これを機に興味を持っていただければうれしい」

と、笑顔で語ってくれた。

TikTokが「採用広報」に役に立つ

さて、そもそも同社がTikTokに取り組む目的は何なのだろうか。畠山さんはこう語る。

広報の畠山さん(写真:筆者撮影)

「その場に立っているだけで、抑止力になるのが警備員です。警備会社としての知名度が上がれば、さらに安全が増すので、宣伝・広報活動には従来より力を入れてきました。TikTokを使うのは、若年層の採用にも効くのではないかと思うためです。それで2020年3月にアカウントを立ち上げました」(畠山さん)

大京警備保障はこれまで、求人メディアへの採用広告出稿費として月に130万円以上かけていた。それが、TikTokなら広告宣伝費をかけずとも狙う層に求人訴求ができると見込んだそうだ。

警備業界では、人手不足や高齢化が進んでいる。「キツそう」「職場の人も怖そう」などのネガティブイメージがあるのか、採用に苦戦してきたが、TikTok活用が流れを変え、応募が一気に増えたという。

具体的には、これまで問い合わせは100人以上届き、実際の応募は50人以上。10人の採用につながった。

「実際に社内の空気もわかったうえでの応募なので、こんなはずではというミスマッチも避けやすく、面接の通過率も高いんです。これまでたくさんの求人広告を出稿しても、月1人採用できるかできないかだったので、すごい効果です」(畠山さん)

次ページ仕事に困っている人に向けて、PR動画も配信
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT