ジャガー・ランドローバー「純EVじゃない」電動化 ランドローバーは燃料電池車に新たな道を探る

拡大
縮小
「レンジローバー」(写真:ジャガー・ランドローバー・ジャパン)

ここで注目したいのが、ランドローバーの「EV以外の電動化パワートレイン」である。実は今回明らかにされたところによれば、ランドローバーは燃料電池自動車(FCV)の開発を進めているというのだ。しかも今後1年以内に、イギリスにおいてプロトタイプの走行を行う予定とも発表されている。

FCVのEVに対するメリットとしては、航続距離の確保しやすさ、約3分という水素充填時間の短さ、低温時の性能低下の少なさなどが挙げられる。現実問題、レンジローバーのような大型SUVをEV化したら、車重は大容量のバッテリーによってきわめて重くなり、SUVとしてのオフロード走破性能が低下し、航続距離を確保できず、充電所要時間もかかり……という図式となってしまうのは避けられない。ジャガー・ランドローバーもそれは承知していて、ゆえにランドローバーにFCVという道を用意したのだ。

イギリス政府やタタグループとの結びつきも

現時点でFCユニットを量産車に導入しているのはトヨタ自動車、ヒョンデ、メルセデス・ベンツなど多くはないが、ランドローバーが採用するのは自社開発のシステムになりそうである。ジャガー・ランドローバーはマレリ・オートモーティブシステム、デルタモータースポーツといったパートナー企業とともに「ゼウス・プロジェクト」と呼ばれる水素燃料電池の開発プロジェクトを、イギリス政府から出資を受けながら進めている最中。おそらくは、その成果が反映されることになるに違いない。

さらに言えば、ジャガー・ランドローバーは現在タタグループに属しており、それだけにこの巨大企業が持つ膨大な技術、ソフトウェア開発能力、そしてクリーンエネルギー関連のリソースを活用できる立場にある。これは他の自動車メーカーに対する大きなアドバンテージとなりえるだろう。

次ページジャガーとランドローバーの戦略をどう見るか
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT