アマゾンの時代に書店員が担う役割とは? 「町の本屋さん」のカリスマ店長は元シンクロ日本代表選手

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トークの様子。著書にも書いた、バックパック旅行について話しているところ

宇宙クイズに沸いた大阪の夜

僕が隆祥館書店のトーク・サイン会に呼んでもらえたのも、前々から宇宙が好きだった常連客の方がいたからだという。「ほんまに宇宙の人を連れてきてくれはった」と喜んでくれたそうだ。(それを聞いて僕は宇宙人になった気分になり、面白かった。)

会は、隆祥館書店から道を挟んだ場所にあるイベントホールで行われた。夜7時からだったのだが、30分前には続々とお客さんが入ってきた。常連さん同士も顔見知りらしく、会場には大阪弁と笑いがあふれていた。

お客さんたちはとても反応がよく、話し手としてまことに楽しい会だった。トークの途中、余興として、「宇宙クイズ大会」をした。賞品はNASAグッズである。たとえばこんな四択問題だ。

 Q: ボイジャーの探査により、木星の惑星・イオには多くの活火山があることが発見されました。それぞれの火山には名前があります。では、イオの火山に付けられた日本人の名前は、次のどれでしょう?

  1. アマテラス
  2. シキブ
  3. シンゲン
  4. シンジョー
  (答えは本記事の末尾に掲載。)

もちろん、4が答えであるはずがない。(いや、僕が発見したらものならシンジョーになりうるが。)関東で行った講演会では、80人の聴衆の中で4に手を上げた人は誰もおらず、完全にスベった。

だが、さすがは大阪人である。彼らは、目立ってナンボ、ネタを拾うのは国民の3大義務のひとつと考えているフシがある。胸を張って4に手を挙げたお客さんが5、6人もいた。甲子園のライトスタンドのような連帯感と温かみがあり、うれしかった。

懲りずにこんな問題も出した。

Q. ボイジャーには、宇宙人へのメッセージとして、レコード盤が積まれており、世界中の音が収録されています。では、このレコードに収録された「日本の音」とは何でしょう。

  1. 尺八
  2. 和太鼓
  3. 雅楽
  4. 六甲颪(阪神タイガースの応援歌)

やはり関東では完全にスベった。だが、隆祥館の会では5、6人が「ハィッ!」と4に元気よく手を挙げてくれた。(ちなみに、たぶん先の5、6人と同じ人である。)

ひとつだけ残念だったのは、会が盛り上がりすぎて時間を大幅に超過してしまい、多く寄せられた質問にほとんど答えることができなかったことだ。それらの質問には、次回の記事でお答えしようと思う。

おまけ問題:以下の写真のように、高さ数十メートルあるMITのドーム状の建物の屋上に、消防車が突然、現れたことがあります。いったい何があったのでしょう?

 

(クイズの答え:両方とも1が正解です。おまけ問題の答えは、『宇宙を目指して海を渡る』の第五章をご覧ください!)

 

6年半のMIT留学とNASAに職を得るまでの学びを全部詰め込んだ新刊、好評発売中!ここにはオンライン書店のリンクを貼るが、時間に余裕のある方は、ぜひ通勤・通学の帰りにでも、近くの書店に寄ってみてほしい

 

小野 雅裕 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者

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おの まさひろ

1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウェアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行なっている。阪神ファン。好物はたくあん。主な著書は、『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)。

ブログ: onomasahiro.net/
Twitter: @masahiro_ono

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