今のアメリカ株はバブルでなく大崩壊もない みずほ証券・大橋英敏氏に金利、インフレを聞く

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FRBはまさかの追加緩和も!?

――では引き続き、4条件と金利は注目ですね。投資家への追加のアドバイスがありますか。

1つあります。これまで実質金利が水面下で下がっているから株は買いという話だった。名目金利から期待インフレ率を差し引いたものが実質金利なので、名目の長期金利が上がってもインフレ期待がそれ以上に高まると実質金利が下がる。これは景気の順調な回復を反映しているということになる。ところが、ここのところ、インフレ期待が上昇した後、下がってきた。つまり実質金利が少し上昇した。

ちょっとややこしいのは、長期金利が上がる一方でインフレ期待がそこまで上がらないとなると、実質金利が上がってしまうので、景気にはマイナスになる。実質金利がゼロを超えそうになってきたら、むしろFRBでは追加緩和が必要だという議論が浮上してくる。今の市場ではインフレ期待が高まるから引き締めが早まるんじゃないかという懸念がくすぶっているわけですが、実はインフレ期待があまり上がらず、追加緩和なんじゃないかという話に変わってくる可能性がある。

そうすると、もっと株価が上がるという話にもなりうる。BEIは先ほどお話ししたように少しミスリードになるので、10年の名目金利に加えて、5年先5年物フォワードの動き、実質金利の動向を見ておくとよいと思います。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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