感染症はなぜ広がる?人類悩ます「残念な真実」 新しく出現した感染症の6割は動物由来

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世界自然保護基金(WWF)などが2000年に発表した報告書によると、ブッシュミートの取引はケニア、タンザニアなどアフリカ7カ国23カ所だけで年間8500キロ、価格にして770万ドル相当にもなります。WWFはアフリカ全域で年間6億頭以上の野生動物が食用のために殺されていると推定。野生動物の狩りのときにかまれたり、解体時の血液などから人へ感染しています。

(画像提供:KADOKAWA)

コロナウイルスは新興感染症のひとつ

過去半世紀の間に出現した新しい感染症のことを「新興感染症」(エマージング感染症)、一度収まったものの再び流行する病気を「再興感染症」といいます。過去半世紀の間に現れた156種の病気のうち、114種(73%)までが新興感染症です。

コロナウイルスはそのひとつで、HIV/エイズ、ラッサ熱、エボラ出血熱など致死率が極めて高い新顔も含まれています。

次々に新興感染症が出現したこの半世紀は、環境破壊が世界的に急拡大してきた時期でもあります。人口急増や経済拡大で、森林の伐採や開墾、鉱工業の拡大、都市の膨張など、本来の安定した自然のシステムが随所で崩壊しました。

新興感染症はアフリカ起源のものが少なくありません。アフリカでは、人口の爆発と熱帯林の破壊が加速しています。ラッサ熱やエボラ出血熱など新顔ウイルスの流行地を見ると、熱帯林内にできてそれほど日が経っていない集落が多いことに気づきます。

そういったところでは、森林を追われた野生動物と人が接触するようになります。生息地を失ったネズミなどのげっ歯類やコウモリが集落に侵入し、新たな病原体を持ち込むのです。

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